最近の賃貸事情-Vol.8 マンションのネーミング

「地名」または「オーナー名」に、住宅を表す単語「ハイツ」「マンション」「コーポ」を付けた。アパートはほとんど「○○荘」と名付けた。

「地名」や「オーナー名」に、環境や立地などの特徴「リバーサイド」「サニーハイム」「バークサイド」「ヒルトップ」を付けた。アパートの「○○荘」が減少した。

「地名」に高級感を出す単語「プレステージ」「グランドメゾン」「グレース」「シャトル」を付けた。アパートの「○○荘」がほとんどなくなった。

「漠然とした名称」・「想像を膨らませるシンプルで短い名称」や、「聞いただけではアパートかマンションかを判断できない名称」が多くなった。

ここ数年、賃貸物件のネーミングに変化が現れてきました。昔のアパートは、多くが「○○荘」という名称で、ほとんど風呂が付いていませんでした。そして風呂付のアパートが主流になったころから「○○荘」という名称もほとんど使われなくなりました。またマンションの場合、地名やオーナーの苗字の前後に住宅という意味の言葉が付いたものが一般的でした。分譲マンションに多く見られた「丘」「公園」「川」「名所」などを入れたものもありました。しかし最近はそういうものが減り、イタリア語やスペイン語など「ひとつの単語の名称」や「日本語でシンプルな名称」が増えてきました。また「イメージが膨らむもの」も多くなり当社管理物件の中でも「Galleria」「あらた」「童夢館」「月庵」「SATSUKI-Ai」「ドゥジェーム」「プルミエール」「ユニット」「Bourree」などがあります。

建物名と実際の建物にギャップがある場合もあります。いかにも高級マンションを想像させるような横文字のカッコいい名称なのに、現地に行ってみると古い木造のアパートだったりします。また、分譲マンションに多いケースですが、遠く離れている有名な町名や名所を、無理に付けているところも少なくありません。おそらく売れ行きにかなりの影響があるのでしょう。このように、分譲マンションの場合「売りやすい名称」を付けますが、賃貸マンションの場合はオーナーが「自分の好きな言葉」や「家やその土地の所以」などを考え「オーナーの夢と希望と誇り」のある名称にします。そして両方に「住む人の夢」があってほしいと思います。

部屋を探している人は最初に募集広告を見ます。最近は外観写真が掲載された広告が多くなったので、建物名に裏切られるケースは少なくなったことと思われますが、文字情報だけの広告の場合、建物名はその物件のイメージとして重要でした。部屋を探している人が建物名を聞いただけで現地を見ずに終わるケースもありました。

最近、入居申込みや契約の際、建物名の「意味」や「由来」を聞かれることが多くなりました。それは見ただけ、聞いただけではわからない建物名が増えているからです。デザイナーズマンションにこだわる人がいるように、自分が住むマンション名にこだわる人も増えているようです。

昔から建物名も入居率に少なからず影響しています。外装などの大規模修繕を行なう際にはコンセプトを持って行なうことがとても大切なことですが、思いきってイメージを変え、名称を変えてみるのもひとつの方法ではないでしょうか。