最近の賃貸事情-Vol.10 入居者管理

ひと口に「入居者管理」と言っても入居開始から解約までに下記のようなさまざまな業務があります。

滞納者への催促及び集金業務
入居者または連帯保証人の変更手続
使用状況に問題のある入居者への注意・指導 盗難・水漏れ等、事故の対応と保険の確認
建物破損の際、修繕手配及び修繕費用の請求
入居中のクレームまたは要望への対応 ※
近隣に迷惑を及ぼした場合の注意・指導
更新契約業務
重大な契約違反者への立ち退き請求
解約に関する業務

今回は※「入居中のクレームまたは要望への対応」についてお話します。
入居者からのクレームは「建物・設備のクレーム」と「建物・設備以外のクレーム」に分けることができます。「建物・設備のクレーム」が圧倒的に多く、中でも給湯器、エアコン、水回りの故障やトラブルが90%を占めます。電話対応だけで済むこともありますが、ほとんどの場合、物件担当者や工事担当者が状況確認の為訪問します。最近付帯設備が増えた分、故障やトラブルも増えています。また最近の入居者の特徴として、簡単な電球交換も「しない方」や「できない方」が増えました。以前もSUDONEWSでお話しましたが、「テレビの映りがわるい」(アンテナが接続されていなかった)「テレビが映らない」(コンセントを挿していなかった)というクレームも実際ありました。後者は電話対応で済みましたが前者は現地に行ってわかりました。

「建物・設備関係以外のクレーム」は、契約書の解釈の相違や契約書に定められた以外のことが多いため対応と調整が困難です。特に「騒音の問題」「緊急の度合」など「個人個人の感覚や常識が異なるもの」や「主観的要素が強いもの」は、その対応にとても気を使います。具体的には、ステレオやピアノの音がうるさい、変な人が出入りしている、夜中騒いでいるなど。騒音のクレーム対応が難しい理由は、私どもが実際に住んでいるわけではないのでその「程度」が不明だからです。クレームを出した人が「神経質過ぎる」のか、「本当にうるさい」のか、判断が難しいのです。この場合、複数の人から同じクレームが出た場合、「本当にうるさい」と判断して対処します。

クレーム対応について大切なことは、まず話しをよく聞き、状況を把握し、緊急かどうかを判断することです。当社ではクレームを「緊急」「準緊急」「普通」の3つに分けて対応しています。緊急とは火災、水漏れ、断水、鍵の紛失、盗難です。いずれの場合も、状況に合わせ、迅速に対応し、的確に処理することが大事ですが、必ず「保険加入の有無」の確認も必要です。

賃貸借契約は継続的なものです。入居時は勤務先・収入が問題ない人でも転職や無職になってしまうこともあります。環境が一変することによって常識や考え方まで変わってしまう場合もあります。最近は「契約内容に対する解釈の違い」や「行政指導」により借主とトラブルになるケースが増えています。また「マスコミの報道」もトラブルに拍車をかけています。

管理業務は「誠意」が大切だと思いますが、スムーズにクレーム処理やトラブルを解決していく為には、その他に「経験」と「フットワークの良さ」が必要と考えています。

★設備関係のクレームと要望
給湯器が点火しない(お湯にならない)
エアコンが利かない
トイレの水が止まらない
蛇口・シャワーホースから水が漏る
排水が詰まった
天井から水が漏ってきた
水が出ない
宅配ボックスが開かない
結露がひどい
テレビの映りが悪い
ドアの開閉が悪い
換気扇が吸い込まない
電球が切れた
鍵を無くしたので貸してほしい
鍵がかかりにくい
電話を1回線増やしたい

★設備関係以外のクレームと要望
隣の人がうるさい(左右上下階)
共用部分にゴミがちらかっていて汚い
変な人が出入りしている
ポストに変なチラシが入っている
駐車場に他の車が止まっている
バイクを買いたいけど置場所はあるか
隣の駐車の仕方が悪い
玄関の鍵を交換してほしい
隣の部屋からペットの鳴き声がする
二重ロックにしたい
車がイタズラされた、自転車が盗まれた
設備点検の際、部屋に入ってほしくない