最近の賃貸事情-Vol.14 東京ルール
今回は「東京ルール」についてお話しいたします。
「東京ルール」とは東京都が「東京における住宅の賃貸借に係る紛争の防止に関する条例」として制定し、平成16年10月1日に施行されたものです。この条例の特徴は借主に対し宅地建物取引業者が重要事項説明書とは別に書面(説明書)を交付し、退去時の原状回復と入居中の修繕について、費用負担に伴う「法律上の原則」や「判例により定着した考え方」などを説明することを義務付けているものです。
具体的に説明する事項は、下記のとおりです。
①退去時の通常損耗等の復旧は、貸主が行うことが基本であること
②入居期間中の必要な修繕は、貸主が行うことが基本であること
③賃貸借契約の中で、借主の負担としている具体的な事項(特約)
④修繕及び維持管理等に関する連絡先
説明義務の適用対象は「東京都内にある居住用の賃貸住宅」のみであり、店舗・事務所等の事業用物件は対象外になります。また、東京都も退去時と入居時の修繕における貸主・借主の費用負担などの基本的な考え方を示した「ガイドライン」を今年9月に発行しました。この内容は以前お伝えしている国土交通省発行のガイドラインと同じです。貸主は「東京ルール」に特約を設けて対応することが可能です。そのため契約時に「東京ルール」の説明をしても根本的な問題は解決しないのではないかと思われます。このようなあいまいなガイドラインやルールは、それぞれの解釈の違いによってかえってトラブルを助長することも予想されます。
「東京ルール」には他にもいくつか問題点があります。例えば、宅地建物取引業者が借主に対しての説明義務であり、貸主に対して説明する義務はなく、また貸主が借主に対して説明する義務はないとあります。トラブル未然防止の徹底をるためには、借主だけではなく、貸主に対しても説明し、理解を得ておくことも大切なことと私たちは考えています。
宅地建物取引業者が説明義務に違反した場合は、東京都知事より指導、勧告、公表をされます。当社としても重要事項説明書や賃貸借契約書の内容を見直し、あいまいな表現のガイドラインやルールに対応していかなくてはなりません。賃貸借契約の原状回復費用及び修繕費用は、原則としてすべて貸主負担になりつつあり、業界はますます借り手有利の賃貸状況になっています。この賃貸事情をご理解いただき、「ガイドライン」や「東京ルール」についての今後の対応に、ご理解とご協力をよろしくお願いいたします。
<東京都の相談窓口一覧>
東京都都市整備局
住宅政策推進部不動産業課
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TELO3-5320-4958
◇指導相談係
TELO3-5320-5071
東京都不動産取引特別相談室
新宿区西新宿2-8-1都庁第二庁舎3階北側
◆弁護士による法律相談
13:00~16:00(面談相談、予約制)
◇特別相談室TEL03-5320-5015
東京都消費生活総合センター
新宿区神楽河岸1-1セントラルプラザ16階
◆消費生活に関する相談(不動産含む)
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