最近の賃貸事情-Vol.19 通信設備

パソコンの進化に伴い「光ファイバー」ヘのニーズが増えてきました。光ファイバーとは、ガラスやプラスチックの細い繊維でできている光を通す通信ケーブルのことをいいます。主な特徴としては「現在のメタルケーブルより通信速度が速い」「一度に大量のデータ送受信可能」「IP電話」などが挙げられます。光ファイバーに対するニーズが増えている理由は、パソコンが個人や家庭へ目覚ましく普及しており、インターネットで「買い物をする」「TVを見る」「映画や音楽をダウンロードして楽しむ」「レストランや旅館を探す」など、ビジネスだけでなくプライベートにおいても情報入手必須アイテムとして利用する時代になっているからです。

部屋探しをする際、光ファイバーがそのマンションに導入されているかどうかを確認する人が最近増えてきています。また、光ファイバーサービスを行っているメーカー(NTT・東京電力*テプコ・USEN)が、世帯数がまとまっていて引き込み交渉のしやすい賃貸マンションなどに、「無料で光ファイバーの導入工事をします」という提案も増えています。各社対象世帯数等の違いはありますが、どの業者も提案の際には必ず、「光ファイバーを導入すると空き部屋がすぐ決まります」「入居後の定着率が向上します」をセールスポイントとして挙げていますが、実際にはその言葉どおりの結果が現れてはおりません。それは「光ファイバー」がもはや付加価値(他物件との差別化)として評価されなくなり、借り手側からは「すでに当たり前の設備」との認識になりつつあるからだと思われます。その他の通信設備として、ADSL(既存のメタルケーブル使用)やCATVのIT接続システムなどがあることも光ファイバーの人気に水をさす原因です。ADSLは光ファイバーの約半分の通信速度やデータ送受信になりますが月額料金が光ファイバーよりは断然安くなっています。CATVはITだけではなく、TVとセットで契約すると20~30チャンネルの専門番組が見られるというメリットがあります。

とはいえ、昨今の貸賃住宅の設備事情は年々進化し、光ファイバーの需要もますます増えているため、新築マンションでは光ファイバーが基本設備になっています。設置料金、毎月の使用料など、NTTをはじめ各メーカー間の競争も激化しています。光ファイバーに限りませんが、設備の導入にあたってはしっかりとした調査と導入後のアフターサービスやメンテナンスを十分に検討した上で判断しなければなりません。入居者のことを考え導入してみたが、利用者がいない為に毎月の基本料金やメンテナンス費だけをオーナーが支払うということになりかねません。付帯設備、特に通信関係(CATV、光ファイバー、インターネット、パソコンなど)は現実より言葉が常に先行しており、メリットだけが一人歩きしている場合も多く見受けられます。最近のアットホーム社のアンケートによると、契約の決め手となった機能・付帯設備の上位に通信設備は顔を出していないのが現状です。