最近の賃貸事情-Vol.24 成約率を高める商品

既存建物の空室について、競争力を高めるためにハード面でできることは「室内をきちんとリフォームする」「付帯設備を充実させる」「共用部分をよりきれいにする」等。これから計画する場合は、前号でもお話したようにしっかりとしたコンセプトのもとにプランニングを行うことが大事です。

また、ソフト面での空室対策としては、「賃料、敷金、礼金など募集条件を緩和する」「ペット、性別、事務所相談など、入居者条件を緩和する」が考えられます。賃料を下げるか、一時金(敷金礼金)を下げるかは迷うところです。賃料を下げる方法が一番効果的ですが、契約中の他部屋の賃料にも影響を及ぼすため全体的に収支が悪化し、修正するには長い年月を要します。

最近、金融業界から賃貸業界へさまざまな商品が持ち込まれています。貸主側にメリットのある商品と借主側にメリットのある商品、また双方共にメリットのあるものもあります。借主向けの商品として、まずは「集金代行」、これは借主の銀行口座から賃料相当額を引落し、貸主の口座へ送金するというもので、従来の自動引落より料金が安いというメリットがあります。次に「クレジットカード支払」、これはクレジットで物を買ったときと同じように借主のカードにポイントが貯まるというメリットがありますが、借主に代わり保証会社が賃料を支払うため、滞納がなく貸主側にとってもメリットがあります。

「保証人代行」、これは以前もご説明いたしましたが、契約時に借主が保証会社に一定の金額を払い連帯保証人を依頼するシステムで、貸主借主双方のための商品と言えます。さらに「契約金立替サービス」というものも登場しています。これは専門会社が敷金、礼金、更新料などを借主に代わり貸主に立替払いし、借主は毎月の賃料にプラスして立替金を分割で支払うというものです。借主は「賃料100,000万円、敷金2ヶ月、礼金2ヶ月」(一時金は多くても毎月の支払いが少ない)、または「賃料114,000円、敷金0礼金0」(毎月の支払いは多くても一時金が少ない)のいずれか好きな方を選べます。後者はデパートで分割にて物を買う、あるいはローンでクルマを購入することと同様の考え方でしょう。引越の際は、契約金以外に引越代、家具の購入などお金が掛かります。貯蓄のある方は両方の支払いが可能でも、片方の貯蓄しかない人、両方支払えるが蓄えを残しておきたい人は後者を選べます。これは比較的家賃帯が低く、若い世代に対するサービスと思われますが、いずれにしても選択できるということはターゲットが広がるのは確かなことです。貸主側には「契約金がない人は将来的に不安」という懸念もあると思われますが、そこは申込者の審査をしっかり行えば問題ないでしょう。

「損害保険」や「滞納保証」など、貸主側に対する商品が先行する中、保証人制度や家賃・契約金の支払方法など、借主に対する商品も増えているということが言えます。