最近の賃貸事情-Vol.26 人口にみる今後の賃貸事情
昨年の日本人の人口は約1億2615万人で前年より約5万人減少し、年齢別で見ると15歳以上64歳以下が全体の65.5%で、平成4年をピークに低下しています。65歳以上は全体の20%を超え、連続して増加しています。昨年の出生率は1.32人で、人口は年々減少し、特に賃貸世代である若い人の減少が予測されます。しかし、世帯数を見ると、国立社会保障・人口問題研究所の調査では、2000年から2020年までに約245万増加する見込みであるとしています。人口は減っているのになぜ世帯数が増加するのか。その理由は高齢化や晩婚化により核家族化が進むからです。そこで単身・少人数世帯向けの住宅が必要とされ、今後の賃貸経営においてポイントになると言えます。少人数世帯の高齢者や晩婚化による30代、40代の単身者は自由にお金を使えるため、生活に余裕があります。今後これらの層が賃貸事業のターゲットとなり、余裕があるが故に、環境、広さ、間取、付帯設備、機能性、バリアフリー、各種サービスなどを厳しく求めてくるでしょう。供給する側としては、この点も重要です。
今年定年を迎えた団塊の世代は退職金や年金を受取ることができます。持ち家率が高い世代ですが、アンケート調査によると郊外に所有している一戸建を貸すか売るかして、都心に住替を希望している人も多いようです。旅行や買い物に便利ということもありますが、高度な医療を迅速に受けられることが一番の理由のようです。
最近の分譲住宅やマンションは月々家賃並みの支払で購入できるようになりました。しかし、リストラに対する不安や不安定な市場性もあり、長期ローンに対して足踏みをする人も多く、また、趣味や娯楽を謳歌したいなどの理由で、年々賃貸派が増えています。この傾向はしばらく続くと思われ、特に若い世代に強いと思われます。
最後にもうひとつ、今後の賃貸事情を考えて外せない傾向はルームシェアです。特に最近、都心部でルームシェアを希望する若者が増えています。その理由は「経済的負担を軽くしたい」人が80%で一番多く、続いて「一人暮らしは寂しい」「楽しそう」などです。少子化により子供一人にかけるお金は増加していますが、20代のニート現象などのように大学を出ても就職しない人も増えており、若者の貧富の差はますます激しくなり二極化現象が現れています。
ルームシェアが増えているもう一つの理由は在日外国人の増加で、毎年数万人ずつ増え続けており、現在約200万人、岡山県の人口とほぼ同じです。外国人は日本人以上にルームシェアを好みます。
日本人の人口減少を考えると、今後外国人労働者が日本企業の労働人口として重要な役割を果たし確実に増えていくでしょう。今後の賃貸経営は少人数世帯の動向に注目し、また、地域によっては外国人労働者をターゲットにする必要があるのかもしれません。