最近の賃貸事情-Vol.29 入居者のモラル
最近、入居者のモラル低下が新聞各紙で話題になっています。
一般常識やモラルは社会生活において最低限の約束事です。さらに共同住宅においては戸建住宅と違いたくさんの人が同じ建物に住み、また共用部分(ゴミ置場、階段、廊下、エレベータ、駐車場、駐輪場など)があるため様々な規則やマナーがあります。しかしこれらを守らない入居者や来訪者、自分勝手な考え方の人が増えています。コミュニティーである共同住宅において皆が快適に暮らすためにはモラルとマナーがとても大切です。
入居申込み後のキャンセルも最近とても多くなりましたが、これもモラルの低下でしょう。「申込みに対する責任」と「キャンセルに対する責任」を感じないのでしょうか。
家賃の滞納についても「仕事が忙しく銀行に行く時間がない」「車を買ったので払えない」など、理由にならないことを言い出す滞納者や「しばらく浴室の電気が点かなかったのでその間の家賃は払えない」「お湯が使えなかった日数だけ家賃をまけろ」など理不尽な要求をしてくる人が増えました。お金はあるけれど給食費を払わない親がいるように、お金があるにもかかわらず建物や部屋に難癖をつけて家賃を払わない、要するに払えないのではなく、「払いたくない」「払う必要がない」といった歪んだ考え方が蔓延しています。
賃借人だけでなく連帯保証人も、「払えないものは仕方がないだろう」「借主から回収できないのはそちらの能力の問題だろう」などと開き直る人、遠方に住んでいるのを逆手にとって「取りにこられるなら来てみろ」と言わんばかりの人もいます。
ゴミの問題も深刻です。東京の多摩地区ではゴミの有料化が始まり、市指定のゴミ袋を使用しないとゴミを回収してくれなくなりました。指定外のゴミ袋や回収後に放置されたゴミの後始末は町内会、あるいは建物所有者に責任があります。コンビニのダストボックスや公園のゴミ箱に家庭ゴミを捨ててしまう人、賃貸マンションの専用ゴミ置場に捨ててしまう近所の人、さらに、洗濯機などの粗大ゴミをアパートの空きスペースに捨てられたこともありました。この場合も、貸主側の費用で処分しなければなりません。
賃貸業界はモラルやマナーに欠けている人への対処が増えていますが、先日あるマンションのエントランスとエレベータ内に防犯カメラを設置したところ、それまで度々あったイタズラ書きがなくなりました。このように防犯カメラは泥棒や不審者対策だけでなく、入居者や来訪者によるイタズラを防ぎ、入居者のマナーとモラルの向上にもつながる効果があります。
規則を守りマナーやモラルをきちんと具えている入居者がほとんどですが、契約違反はしないがマナーが悪くモラルもない入居者が増えているのも事実です。入居者の指導は契約違反以上に難しい問題ですが、できるだけ努力してみなさんが快適に暮らせるよう、モラルの向上を目指したいと考えております。