最近の賃貸事情-Vol39 空室対策

①賃料等募集条件の適正化②幅広い広告活動③物件の魅力アップ提案④入居者を長く居住させる(テナントリテンション)
などが空室対策として挙げられます。募集期間中は反響数、内見数に加え申込率(内見数に対する申込数の比率)を算出すると成約に向けての対策が見えてきます。

①募集条件の適正化
地域と専有面積に構造、間取り、築年数、設備仕様などが加味され個々の募集賃料が算出されますが、付近の供給状況や募集時期も査定に多大な影響を与えます。

最近は賃料値下げ交渉が多いため、募集賃料より成約賃料が下がることが多々あります。また、単身者は初期費用(敷金や礼金)の低さも強く求める傾向にあります。反響を得るためには適正な賃料設定が必要ですが、申込率については一概に高い方が良いとは言えません。賃料設定が低過ぎることの裏返しでもあるからです。

②広告活動
ユーザー向け業界向けを問わず、ネット検索では写真なしの物件は除外されてしまいますので外観、室内、水回り、付近の公園など、多く掲載することが大事です。特に築年数が古い物件は綺麗なリフォーム状況や、清潔な共用部分を視覚でアピールしなければなりません。また、写真の撮り方も重要です。

③競争力のある物件を演出する
競争力を付けるには経費をかけず募集条件を緩和させるのが効果的ですが、長期的には設備投資やリノベーションをして魅力的で競争力のある物件にすることが必要です。シングルタイプの場合「エアコン」「バス・トイレ別」「洗濯機置場」など当然の設備に加えプラスアルファが必要。コンセプトをしっかり持ち、魅力を引き出すことが大事です。

反響が少ないのは募集条件が適正でないことが多いのですが、反対に内見数が多いにもかかわらず申込に至らない場合も室内に何らかの問題を抱えています。また、室内がどんなに素晴らしくても自転車置場やゴミ置場など共用部分が整理されていないと申込には至りません。

ユーザーは期待して内見に挑みます。広告媒体に写真をたくさん掲載すると閲覧数が増えますが、写真掲載が裏目に出ることもあります。いずれにしても第一印象、特にエントランスを綺麗に保つことは絶対条件です。ここが汚れていると室内を見ずに帰ってしまう人もいます。案内時に照明を付けておくと好印象で、暗い部屋では前向きな考えになれず入居希望者を逃してしまいます。

④居住期間を長くする
シングルは4年、ファミリーは6年と言われていますが、リストラや倒産、初期費用ナシ物件の増加が影響し居住期間が短くなっています。賃料が上昇傾向時の入れ替りは歓迎しますが、現在のように賃料が上がらず、内装代も徴収できず、供給過多の時は入居者の居住年数を長くさせることが安定した賃貸経営に通じます。クレームや要望に対する早期レスポンスも長期居住には欠かせません。

一般的には募集開始から2ヶ月程度で成約に至るのが「適正な募集条件」と言われています。物件を客観的に捉え、多角的に見て、さまざまな提案をさせていただき早期成約を目指したいと考えております。