最近の賃貸事情-Vol46 賃料滞納者と生活保護受給者の増加

賃貸業界ではここ数年、景気の悪化や完全失業率の高水準化などの時代背景により賃料滞納の問題が深刻化しています。保証人に当たる親の世代が定年退職期に移ってきており、滞納賃料を請求してもすぐに一括では払えないなど回収作業が難航し、弁護士に相談したり裁判に至るケースも増えています。入居申込内容も契約社員や派遣社員、フリーター、特に最近は生活保護受給者(以下、受給者といいます)が多くなってきています。

受給者は2012年5月時点では210万人を超え過去最高数になりました(厚生労働省)。人口に対する割合(生活保護受給率)は全国平均で1.63%と10年前の2倍以上、受給率が最も高い大阪府は3.38%、低い富山県では0.32%と地域により大きな開きが出てきています。東京都は2.13%、100人に2人以上が受給者で全国的には高水準。今後、受給者の賃貸物件に対する需要は確実に伸びていくと思われますが、空室が多い昨今の状況を考えると受給者を受け入れることは賃貸経営のためには必要であり、社会的にも受け入れが望まれています。また、まれに貸主や管理会社が入居者と相談した上で生活保護の受給申請を提案するケースもあり、生活保護制度は賃貸借と密接な関係にあるのです。

受給者は定期的に役所の審査(年に数回は訪問し近況を確認)があり、賃金収入が安定するまで給付を受けることができるため、貸す側からすれば安定した収入が得られます。しかし問題点もあります。賃料の代理納付(役所からの直接入金)を認めていない自治体が多く存在するため、住宅扶助(賃料が支給される)を受けているにもかかわらず、それを借金の返済に充ててしまい滞納してしまうことです。本人の属性の問題ではありますが、支給システム自体も改善が必要です。役所が貸主に賃料を直接振込む制度になることを期待します。

また、受給者に限ったことではありませんが、賃料滞納以外に規則やマナー違反、トラブルを起こす身勝手な入居者が増えている問題、さらに高齢者などの孤独死問題などのリスクも考えていく必要があります。

滞納者に対する有効な対策として差押えがあります。裁判所の判決を得る、または支払督促手続きを行い異議が出なければ差押えが可能になります。差押えは不動産や車、預金口座などが対象ですが、会社員であれば給料の差押えも可能です。給料額により制限(例えば1/4までなど)はありますが滞納賃料を回収する有効な手段です。

しかし、滞納者への一番有効な手段は早期対応。保証人も含め早期に連絡をとり対応することが最も重要です。滞納額が増えれば増えるほど正常に戻すのは困難であり、たとえ差押え判決が出ても回収できないケースもあります。

滞納を未然に防ぐため入居審査をきちんと且つ丁寧に行い、滞納者予備軍を見極めることが大切だと考えます。