最近の賃貸事情-Vol47 繁忙期に向けて

昨今の賃貸事情は賃料の下落、敷金礼金の低下が進み、さらに空室率の上昇と、オーナー様にとっては大変厳しい情勢となっています。築浅物件や新築でも立地や仕様により苦戦を強いられることがあり、既存物件ではより工夫をしていかなければ厳しい競争に勝つことはできず、貸す側は繁忙期にひと部屋でも多く成約に結びつけようと様々な戦略を考えています。

その戦略の1つとして①入居日をある程度猶予することが挙げられます。学生や新社会人は3月あるいは4月の入居希望が多く、「早く決めたいが住んでいない間の賃料は払いたくない」と考えています。ワンルームや1Kなどシングルタイプは②フリーレント(一定期間の家賃を免除する)の活用が効果的です。また、早期に契約締結することで空き予定物件との競合性が減り、キャンセルも回避できます。

戦略の3つ目は③早めの退去を促すことです。3月中に入居できる物件と4月に入居できる物件では反響数に差が出ます。解約予告日数を調整し解約者に早めの引越しを促して繁忙期に入居可能な状態にするのです。急な転勤で引越しする方もいるため早めに入居可能な状態にしておくことが大切。④入替の際のリフォーム工事を合理的に行い、且つ短縮することも重要です。

5つ目として⑤賃料の値下げ幅を確定しておくことが挙げられます。学生の中には1日だけ上京し、その日のうちに決める方も多く、条件交渉が入った場合早急に結論を出さないと他の物件に流れてしまいます。特に最近は当然のように条件交渉が入りますので、それを前提として詳細に募集条件や入居者条件を考えておくことが得策です。

近隣の供給状況、新しくできる施設、駐車場の空きなどの⑥情報収集を行う必要もあります。保証人を立てられない、または立てたくない申込人も増えているため、妥当な料金で保証内容も良く、財務内容がしっかりとした⑦保証人代行会社を用意することも大事です。トップページの「みなさんこんにちは」のところでも触れましたが⑧カスタマイズ賃貸は今、賃貸業界のトレンドです。⑨植栽をエントランスや廊下に設置することも好印象で成約率が向上します。⑩成約プレゼント(家電や商品券、自転車など)の実施が盛んに行われていますが、そういうモノで契約した入居者は入居期間が短いということを聞きます。

部屋そのものを気に入って住み始めた入居者は部屋を大切に使い、長く住み続けます。また入居後のクレームや要望への対応の良さも居住期間を長くします。特にこの時期は初めて一人暮らしをする方も多く不安なことがたくさんありますので、ソフト面の対応がより大切ではないでしょうか。将来的には、あのオーナーの物件、あの管理会社の物件に住みたいという基準での部屋探しも出てくるかもしれません。

下の図「絶対条件と考える設備」は昨年後期に行われたアンケート結果ですが、上位は既に多くの物件に備わりつつありますので、プラスαの価値を考えなくてはなりません。住む人が満足して長く住み続けるような管理を目指し、これからもオーナー様の賃貸経営のお手伝いを行って参ります。