コラム-Vol.12 レンタルビデオ

映画を見ながらよく喋る。どうやら女性のほうが余裕があるらしい。私の場合、映画鑑賞中は何も喋りたくない。酒は大好きだけど鑑賞中は飲まない。出来ることなら携帯電話も切って、部屋の電話線も切って、部屋を真っ暗にして映画に集中したい。

随分と前の話だが1ヶ月に50本以上映画を観ていた時期があり、そのうち映画館に出向いたのは1~2本程度。最近はDVDが人気であるが、当時はレンタルビデオで広尾のビデオショップでは1本1泊2日で1,000円と、今から考えれば随分高価だった。映画はジャンルを気にせす何でも観るほうだが、強いて言えば「冒険もの」「サスペンスもの」「戦争もの」「刑事もの」。そして関心がないのが「恋愛もの」と「オカルトやホラー」など。女性は怖がりなのに、この手のものをよく観るらしい。摩訶不思議だ。いわゆる怖いもの見たさなのだろうか。怖い映画を女性と一緒に見ていると思う、(お化け屋敷でもそう思うが)「女性は男より強い」と。なぜなら恐怖の瞬間、大声を出せるから。男は恐怖の瞬間、声が詰まり、「ふっ!」と無声音。反対に女性は「キャー」とか「わ-」とか「ぎえ-」「ひえ-」「ぎょえ-」。回りを気にせず本能的に大声を出せるのは、ある意味でハートが強い証拠。お化け屋敷で本当にびびっているのは、「オレの後ろを付いて来い!」と豪語している男のほうだ。

話を戻そう。ビデオの映画をいっぱい観ていたときのこと、始まって15分程で、なんだか不思議な気分になった映画があった。よくいうデジャブーに似た感じだった。こんなこと経験したのかな?前に夢で見たのかな?さらにしばらく観ていたら現実がやってきた「この映画、先週観た」。思わずガックリ。たくさん観すぎていたのでタイトルを全部覚えているはずもなく、ビデオケースを見てもわからなかった。現実に戻った瞬間、当然二度見はしたくないのでビデオを停止する。ひどいときは3本借りてきたうち、2本がそうだったことがあった。そんなことを何回か繰り返されたので、大雑把な私がマメになり、借りてきた映画、観た映画をノートに書くことにした。ついでに5段階の評価も付けた。◎⇒○⇒△⇒×⇒××。◎は友達に是非観てもらいたい映画。××はその反対で、残りの3つは「観る人の好みの問題」。せっかく作ったそのノートは、前回の引越のときどこかに紛れてしまった。

私は、最初つまらなそうな映画でも「そのうちおもしろくなるだろう」と期待して最後まで期待だけで終わってしまうタイプ。最近もあったことだが、夜中眠い目をこすりながら最後まで観て、結局つまらない映画だったときはショックが大きい。タイトルに騙された、予告に騙された、顔ぶれに期待しすぎた。あの監督なのに何故?なんだか悔しいし、消化不良。睡魔はとっくに立ち去っているので眠るに眠れない。「気分直し」でもう一本観たくなる。だけど「つまらない映画もたまにはあるだろう」、第一「選んだのは自分」だし、「とてつもなくまずい飯を食ったよりはマシだ」、と自分に言い聞かせ結局1杯ひっかけて寝ることにしている。最近はレンタルビデオが安くなり助かった。