コラム-Vol.16 ラッキーとアンラッキーは紙一重

食堂に入ったら自分の好きなメニューがあった(ラッキー)。しかしそれは腹が立つほどマズかった(アンラッキー)。チケット売り場の列に並んでいたら前の人で売切れてしまった(アンラッキー)。しかしその屋外コンサートは当日台風で中止になっていた(ラッキー)。

先日、知人が泥棒に遭遇した(アンラッキー)。といっても当の本人は相手の顔を見たわけでも声を聞いたわけでもない。酔っ払って駅のベンチで寝てしまい、起きて気付いたら背広の内ポケットに入れてあった財布が無くなっていたのである。散々飲み歩いた後だったので、幸い現金はたくさん入っていなかった(ラッキー)が、キャッシュカードが何枚か入っており、慌てて残高を確認したときにはすでに後の祭り。免許証も入っていたため泥棒は暗証番号を容易に察することができたのだ(アンラッキー)。以前なら夜中にキャッシュカードを使えなかったが、今はコンビニで24時間使える。便利になった反面、リスクも増えた。

泥棒は許し難いが、多少なりとも本人にも落度はある。酒を飲むのは自由だし、酔って電車で帰るのも自由。しかし、駅のベンチで寝てしまうということになると話は別。東京でも真冬の時期は凍死してしまうことも充分あり得る。駅員にも迷惑をかけるし、泥棒に遭ったら警察にもお世話になるし、家族や友人にも迷惑をかけてしまう。

幸い私は泥棒に遭ったことがない(ラッキー)。大金を落としたことは2度あるが、1度は戻ったらまだその場においてあって(ラッキー)、もう1度は拾ってくれたひとが届けてくれた(ラッキー)。お金を拾ったこともない。いや、1度だけ10円玉を1個拾って、近くの神社の賽銭箱に入れたことがあった。それから競馬などギャンブルで大儲けしたこともない(アンラッキー)。宝くじに当たったこともないので、友達付き合いもずっと変わらず良い関係を続けられている(ラッキー)。

運は毎日すれすれのところを通り過ぎる。旅先で電車に乗り遅れて観光名所を見られなかった、交通渋滞で大事な仕事に遅れてしまい契約をとれなかったなど、旅先でトラブルや意外な展開があると、不安になったり戸惑ったりと、その場がしらけてしまう。でも、無事家に帰ってくればすべて笑い話に変わってしまう。いや、かえって少々のトラブルがあった方がよい思い出になるかもしれない。仕事の場合、トラブルを解決したときは今まで以上の信頼を得ることもある。運とは予測できないものだが、準備と予想である程度変えることができる。

運は結果論。知らない間に誰もが経験していること。仕事でもプライベートでも、前向きに考え、行動したい。そして予測と準備、心構えと気持ちの切り替えで、アンラッキーをラッキーに変えられるような人になりたい。