コラム-Vol.18 珍商売・・・大道芸人は意外とキツイ

日が沈むとカラカウア通りの歩道に現れる「新聞紙男」「銅像男」「ゴールドマン」「シルバーマン」。基本的には動かないが、チップ(コインはダメ、紙幣に限る)を入れるとロボットのように動き出す。他にはひたすら弾いている「ギター男」、やはりチップを払うと叩きだす「ドラム男」、テニスボールのようなものを何個も操る「ジャグラー男」。この人たちは、何を求めているのだろう。故郷に帰るお金を稼ぐため出没するのだろうか。しかし「銅像男」「新聞紙男」の目的はそれとは違う、理由は、何年も前からずっといるからだ。カラカウア通りには他にも「似顔絵師」「スプレー絵画師」など、いわゆる芸術家もいる。何故だか女性は見えない。

こういう人をみるといろいろなことを想像してしまう。日本のように場所代は払っているのか?一日の稼ぎはどのくらいだろう?じっとしているときはなにを考えているのだろう?ここにいないときは何をやっているのだろう?果たして何者?警察はこの人たちをどう考えているのか。黙認しているのか。奨励しているのか。街ぐるみで自治体としてやっているのか。出来れば、彼らの準備と撤収の場面を見てみたい。そしてどこに帰るのか。住居は?食生活は?

「身体にペンキを塗ってただじっとしているだけでチップが貰えるなんて楽だな~」と思っている方も多いと思う。しかし、私が予想するにかなりキツイシゴトだ。何もしない、何も喋らないというのは案外ツライもの。工事現場の誘導員は人や車が来ないほうが楽そうに見えるけど、返ってそのほうが手持無沙汰で疲れると思う。単純な仕事ほどただただ時を(休憩時間、昼休み、仕事の終了時間)待つ、従って時間がとても長く感じる。ある意味で充実していないってことかな?適当に人や車が来てくれた方が、やりがいがあるし、ほどよく時が過ぎ、そして疲れない。「身体」か「頭脳」か、どちらかをほどよく使っていた方が心地いいものだ。

私事だが、学生時代みんなに「楽な仕事だね」といわれたアルバイトをしたことがある。「一日中宣伝カーに乗る仕事」。音楽をバックにお店のPRの喋りを吹き込んだテープを流して、街中を時速15Kmで、一日中道路の左端をひたすら走る。その時のバックミュージックは今でもよく覚えている。タラタタンタンタン~…♪~…♪。国道、県道、時には畑道。これが楽そうに見えてけっこうキツイ。他のアルバイトより日給が良かったので応募してみたけれど、働いて初めてわかった。当時の肉体労働が一日5,000円程度に比べ、宣伝カーのアルバイトは7,000円。40日同通して働いて280,000円、その半分をバイト最終日の翌日にストレス解消のため使ってしまった。もうひとつのバイトは農作物の数を数える仕事。梨畑に行って1本の樹に梨が何個なっているかを数える、田んぼに行って1本の稲に穂が何個付いているかを数える。いいかげんにすればできる仕事だけれど、一個一個一生懸命数えた。時を充実させるためには「のめり込む」ほうが楽しいと思ったから…。