コラム-Vol.19 「ヘンな創作料理」好き嫌い編

以前は無料だった鮭のカマ、みんなその美味さを知ってきたため最近は身の部分より高値になった。イカはゲソとエンペラー(ミミ)が一番ウマイ。捨ててしまう人が多い大根の葉っぱと皮の部分が大好き。昔は普通だった「手作り」が今では貴重な財産で贅沢品。飲み屋で「季節限定」「産地直送」「手作り豆腐」これらの言葉に弱いのは私だけではないでしょう。

豆腐はそのものが充分手の込んだ料理、そのままロにするのがイチバン旨いと思う。普通醤油をかけるが、生姜やおかか、ネギをのせるのも悪くない。揚げ出し豆腐も麻婆豆腐もいい。しかし、ウマイ豆腐をヘンに小細工するのはどうかと思う。手作りの美味い豆腐をあえて不味いものにしている。これは作る人のエゴか勘違いだろう。

「全国のラーメンを食べ歩いて、この味にたどり着きました」という店主。しかし「ハア~ッ、これが?」っていう味が多い。究極の味とは、たくさん食べ過ぎて、何か旨いか、どれが旨いかわからなくなってしまった味なのでしょうか。私も新しいお店と味に多くチャレンジしたが、9割はダメたった。みんな何か勘違いしている。

食材で「何々と何々を一緒に食べると旨いよ」、これはほとんどマズイ。「たまには変わった食べ方しないとね」と前向きに考えチャレンジする気持ちは買うけれど、これもほとんどマズイ。サンマは塩焼がイチバン旨い食べ方だから長年食べられているのに、カレー味や、トマト味を作るのはナンセンス。イタリアで、ワインを飲みながらトマトソース味でサンマを食べる、東南アジアではカレー味にする、気候や風土によって味覚が異なる。オリオンビールは沖縄に合う、しかし東京ではイマイチ。その土地に行って食さないと本当の旨さはわからない。

私は好き嫌いが全くない。子供の頃嫌いだったものも今では好んでロにする。ミョウガ、セロリ、パセリにパクチ、クサヤに海鼠腸。また、最初に食べたとき「旨くない」と思ったが何回か口にして好きになったものもある。食べ物の好き嫌いは「慣れ」も大きい。だから1度口にしただけで「これはマズイ」と言ってはいけない。何度食べてもマズイと思ったら「私の口には合いません」と言うように心掛けたい。

好き嫌いのある人の話しを聞くと、嫌いな理由が概ね3つに分かれる。その1「食べたことがない、食べる気がしない」。その2「食べたが美味くなかった」。その3「食べたあと具合が悪くなった」。以下は好き嫌いのない私の個人的な意見、まず、その1の場合、食べられない物の数だけ損をしていると思う。その2の場合、味付けが悪いか、新鮮でないか、運が悪いだけなので再チャレンジしたほうがよいでしょう。その3は鯖や卵など、アレルギー反応を起こす人がいるから仕方ない場合が多い。

「何を食べるかではなく、誰と食べるか」、確かにこれは大事なこと。しかし、先日大切な人と食事をする機会があったが……マズイものはやっぱり不味かった。