みなさんこんにちは-Vol.33

子供の頃、夏休みが始まって間もないこの時期は宿題のことなど考えもせずに近所の空き地や神社で遊び回っていました。そして…夏休みも終わりになる頃、宿題の短期集中処理という恐ろしい現実を見たものです。

その頃、兄の洋服を弟に着せる、いとこの洋服が巡ってくる、いわゆる「お下がり」がごく当り前のことでした。双子の友だちは洋服をほとんど共有していました。経済的な理由でそうしていたわけですが、今考えると、とてもエコなことだったのですね。裕福過ぎないほうが環境に優しいのかもしれません。

「お下がり」や「共有」、最近のシェアリング(ルームシェアやカーシェア)の意味は異なりますが、経済的で合理性があるという共通点があります。

ルームシェアは以前からあり、経済的理由に加えて寂しさを無くし安心して暮らすために友人同士で部屋を借りることがよくありました。当時は4畳半や6畳一間、トイレとキッチン共同の木造賃貸アパートや間貸しがシングル向けの主流で、これが今のルームシェアの原型と言えるのかもしれません。

外国のルームシェアはルームメイトに知らない人を募集するようですが、日本では知人同士のシェアが普通でした。現在のゲストハウスは、以前の「間貸しアパート」「日本のルームシェア」「外国のルームシェア」「日本の寮システム」をミックスしたような形態のようです。保証人代行制度に代表されるように人間関係が希薄になっている昨今、コミュニケーションが必要なゲストハウスやシェアハウス、サービスアパートの登場とその人気を見ると、すこしホッとします。

そして「もったいない」という発想からカーシェアリングの登場。これはエコという観点から見た場合も有意義であり、交通渋滞緩和などにも繋がるメリットもあります。一見レンタカーと変わらないように思えるサービスですが、短時間(15分~)でも利用が可能なこと、レンタカー会社に出向かなくてもよいことなどの違いがあります。近頃はマンションにこのサービスを取り入れているところもありますが、近い将来、スクーターのシェア、自転車のシェアも登場するかもしれません。

付帯設備が増えた日本の賃貸マンションですが、欧米のように家具付も増えつつあります。これもある意味で合理的でエコでもあります。シングルとファミリーでは欲しい電化製品や家具、また、必要な機能やサイズも異なります。これらを引越しの度に間取りや家族構成によって買い換えるのは合理的ではありません。

今まで生産と廃棄の繰り返しが多かった日本ですが、経済活性化のためにはそれが必要な場合もあります。建築や不動産に限りませんが、生産と廃棄、購入と売却、リースとレンタルという市場に加えて、もったいない思考に基づく有効利用と再利用、さらにはシェアリング、これらがバランスよく保たれて欲しいものです。

日本人は持ち家思考が強いと言われていましたが、ここ数年賃貸派が増えています。家具や電化製品も含め所有する満足から借りる合理性に価値観が移行しているのでしょう。今後、「シェアリング」=「経済的」「合理的」が賃貸業界の中でどのように浸透していくか、注目しています。