すこし参考になる話-Vol.5
【住居表示と地番】
A…東京都港区南麻布4-5-45
B…東京都町田市○○町9999-9
Aが「住居表示」でBが「地番」です。都内の標記住所の大半はA(住居表示)で、Bのほうは郊外の標記住所に多く見られますが、この2通りの標記は指し示す対象が異なります。
歴史的に見てみると作物にかけられていた税金が、土地そのものにかけられるようになった明治の地租改正から土地は「固定資産」となり「番号」が付けられた。これが「地番」の始まりです。ここで大切なのは、[地番]は「郵便物が届く宛先」ではなく徴税のために土地の所有者を明確にするために付けられたことです。しかし「地番」は土地に付けられたというより土地の所有者に与えられた「整理番号」ですので所有者が移転したら「地番」も移動して、地番の示す範囲が飛び飛びになってしまいました。郵便物があまりなかったころはそれで充分だったのですが、手紙を出したり、遠隔地を訪れることが多くなると、そういうバラバラになった「地番」を表記住所に使用するのは非常に不便になってきました。そこで「徴税のための整理番号」である「地番」とは別に「地番」のわかりにくさを解消し、「郵便物の宛先としての所在地を表すための住居表示」が登場しました。
訪問先が「地番式」か「住居表示式」かによって探しやすさが大分違います。住居表示は整然と規則通りに並んでいるので探すのが容易で郵便屋さんにも運送屋さんにとっても便利なシステムです。 (次号に続く)