最近の賃貸事情-Vol.28 入居者退去の動向と長期入居の工夫

今回は入居者の退去に関わるアンケート結果をもとにお話したいと思います。

まず図1をご覧ください。

退去理由の1位は「転勤による引越」、2位「自宅購入」、3位「結婚による住み換え」、4位「家族構成の変化」、この4位までが大部分を占めており、ここ数年このバランスはあまり変化しておりません。また、賃料、立地、設備、管理など、物件に不満を持ち退去される方が年々増加しており、残念ながら当社の管理物件においてもこの傾向は見受けられます。立地の不満以外はご連絡をいただければ対処できることも多いのですが、申し出ずに退去してしまうケースも少なからずあるのが現状です。貸す側もできるだけ入居者とコミュニケーションを取り、入居者意識を把握し解決策を見出すことが大切です。

次のアンケートは、現在入居中の30~40代の住み換え意識調査(図2)です。10人中6~7人は引越を考えています。『今住んでいる家の不満は?』(図3)の問いの1位は「狭い」、2位「使いづらい間取」、3位「駅から遠い」、4位「老朽化している」と続きます。特に不満はないという回答は約2割でした。

2年前のSUDO NEWS「更新と部屋探し」でも触れましたが、更新時に解約する人が増えています。引越を考えてはいるが躊躇している人の多くは契約金と引越代金などの出費を懸念しています。更新するかどうかのポイントには更新料の存在がありますが、更新後に引越するよりは更新前のほうが更新料の分を節約できるという考え方もできます。いずれにせよ更新時期が引越をする機会になっているのは事実です。

一昔前は入居者入替の際に室内のチェックが出来、また次の入居者も決まりやすく、加えて賃料値上げが可能なため適度な入替えは良いという見方が主流でしたが、今はリフォーム費用の大半をオーナーが負担し、賃料も上げられず、また募集してもすぐには入居者が見つからないのが現状です。

そのような中では、転勤などやむを得ない場合は別として、当面は解約を避け長期間住んでいただくことが重要になってきています。そのために更新時に入居者へクオカードを配布、設備の交換やクロスの貼替え、中には更新料を免除するオーナーもいらっしゃいます。いずれも入居期間をすこしでも長くするために、入居者にメリットがある取組みを積極的に取り入れているのです。

ほとんどの入居者は物件が気に入って住み始めたのです。しかし、近隣環境、買い物、飲食店の状況、隣人との関係など、実際に住んで初めて分かることもあります。物件の性質上どうにもならないこともありますが、入居期間が長くなるように対応可能な問題を解決してゆくのが得策です。他には、設備の故障や騒音の問題など、要望やクレームに迅速に対応することも入居の長期化に繋がります。また、夜間のライトアップや共用部分に癒しの空間など、プラスαのサービスを行うことも重要です。

建物や部屋のハード面、契約やクレーム対応のソフト面、いずれも入居者の満足を得られるようにしてゆくことで長期入居者が確保できると考えており、引続き、サービスの向上をめざして業務に取り組んでいきたいと思います。