2009年10月のSUDO NEWS

SUDO NEWS Vol.34(2009/10/26)

みなさんこんにちは-Vol.34

大分寒くなりましたが、お元気にお過ごしのこととお察し申し上げます。

昨年秋の金融危機からしばらく経過した今年の夏前、賃貸住宅にも影響が出始めました。不動産に対する景気は良くなるときも悪くなるときも、売買関係に始まり、次に賃貸事業系、そして賃貸住宅系の順番に影響が出ます。

例年どおり今年も春先以降引越しが減りましたが、慢性的な空室も多い状況です。空室が増えた一因として、借りる人が減ったことより供給が増えたことが大きいです。また、人気のある物件とない物件の差が顕著に現れています。オーナーや管理会社は競争に勝つため「契約金の減額」や「フリーレント」を打出し募集活動に奮闘していますが、ハード面(設備や内装等)、或いはソフト面(入居者条件や契約条件)で対応するのかを物件ごとに見極め、競争力を高めることが重要です。

さて、更新料の有効性が問われた裁判が何回かなされております。過去ほとんどが「更新料は有効」との判決でしたが、今年7月の京都地裁、8月の大阪高裁では消費者契約法との関係で無効の判決が下りました。民事の基本は個人の意見を尊重することですが、それ以前の問題として、成人の契約行為には責任を持つことが大原則。自己責任と契約の自由が優先されるべきではないでしょうか。また、極めて稀で偏った意見を持つ人のために長い年月をかけて議論し、歴史や慣習、規則や法律を変えるのはいかがなものかと考えます。貸主側は最高裁に上告するそうですが、この件については本誌2頁の「賃貸事情」で詳しくお話したいと思います。

最近、「敷金鑑定士」という仕事が現れました。賃貸借契約解約時に借主の代理人として、補修費負担を最小限に食い止め、返還金を増やすことが主な業務のようです。借主はもちろん手数料を払います。その手数料と返還金の差額が借主のメリットになるようです。消費者保護的観点というと聞こえがいいですが、景気が悪くなると発生する隙間産業のひとつで、不景気の中で模索した結果の仕事なのでしょう。不当な請求をする貸主や管理会社に対してはともかく、契約書やルールに沿って公平に精算しようとしている場合、敷金鑑定士の存在はかえってトラブルを発生させ結果的に依頼者(消費者)が煩わしい思いをしたり、損をしてしまうことも考えられます。

管理会社が貸主代理であると同様に借主にも代理人が必要な場合があり、事実、大手企業は契約代行会社に依頼するところが増えています。今後は法人に限らず個人契約でも契約代行会社を利用するようになるかもしれません。

何事にも平等な権利義務と公平な機会は必要ですが、同時にそれらがバランスよく保たれることも必要です。生産者と消費者、貸主と借主においても同様です。依頼者の意向に沿って行動し利便を図り、利益をもたらすのが代理人の仕事。しかし代理人は権利を主張するだけでなく相手の立場を理解することも必要であり、それをなくしては、解約精算でさえも和解することなく裁判へと発展してしまうでしょう。このことを念頭におき管理会社として賃貸業界の変遷にしっかり対応してゆきたいと考えております。

部署&物件紹介-Vol.34 「K・HOUSE」

本年10月末に完成予定の新築賃貸マンション「K・HOUSE」をご紹介いたします。さいたま市の閑静な一画に建つ1Kタイプ18戸のオール電化住宅。いまどきのシングルが希望している設備と室内仕様にしました。22時まで営業しているスーパーまで300mと買い物にも便利です。

付近には美術学校や看護学校、歯科衛生士などの専門学校があり、大宮駅に向かう途中には大宮区役所があり、また、大宮双愛病院を始め各種医院も点在しており、安心して生活できる環境が整っています。

さらに付近一帯に広がる大宮公園。第一公園内にはサッカー場や野球場、博物館や小動物園、日本庭園、体育館などがあり、第二公園内には多目的広場、チビッ子広場、テニスコート。そして緑が一面に広がる第三公園までは歩いて2分、散歩やジョギングにうってつけです。このように環境良好の「K・HOUSE」、建物の持つ雰囲気を大切に末長く管理させていただきたいと思います。

所在地:さいたま市大宮区堀の内町1-483
構造規模:鉄筋コンクリート造地上3階建
総戸数:18戸
賃貸戸数:18戸
入居予定:2009年11月上旬
交通:「大宮」駅徒歩20分(またはバス5分、バス停徒歩4分)
共用設備:オートロック、BS・CS対応、地上デジタル放送、光ファイバー、駐輪場、バイク置場
専用設備:エアコン、IHクッキングヒーター(2口)、シャワー付、トイレ、シャンプードレッサー、カラーモニター付、インターホン、ダブルロック
仕様:床フローリング、浴室トイレ別々、室内洗濯機置場

最近の賃貸事情-Vol.34 更新料の判例

更新料の有効性が問われた訴訟が各地でなされております。過去ほとんどが「更新料は有効」の判決でしたが、今年7月の京都地裁、8月の大阪高裁では消費者契約法との関係で無効の判決が下りました。「結果情報」がすべてと思い込んでしまうことに注意を払う必要があります。一部のマスコミもまたそれを煽ります。今回の判決はひとつの事例についてのみ言及しているのであって他の契約には無関係。しかし、「更新料は払わなくてよくなったのですね」と当然のように言ってくる借主が既に現れており、今後も増えてゆくと思われ、あたかも法律が出来たかのように誤解している人が多いのも事実です。そもそも関西圏では更新料がないことも多く、この裁判での更新料は2ヶ月であり、且つ退去時の敷金精算にもトラブルがあったようです。首都圏では1年で更新料2ヶ月の契約はほとんど存在しません。また、更新料に関することだけでなく、入居中の対応も含めて貸主や管理会社と感情的なもつれがあったと予想できます。

今回の裁判のポイントは更新料の法的性質とされてきた「更新拒絶権放棄の対価」「賃料の補充の性質」が否定されたことです。更新料自体の意味を見出せない結果、不当なものとなり無効という結論に至ったのです。「1年毎に2ヶ月分は賃料に対してかなり高額である」「更新料を設定することで家賃を一見少なく見せ借主を誘引している」「大家に比べ借地借家法などの情報力に乏しい借主とは対等な取引であったか疑問」と裁判官は言及しています。

貸主側は最高裁判所へ上告するとのことですが、その結果は1年以上先。この間はやや混乱が予想されます。契約中の借主からは更新料の支払いの渋り、契約予定の場合は更新料条項の削除要請、解約済の場合は過去に支払った更新料の返還請求などが考えられます。

慣習等により地域的な違いはありますが、契約金は元来、賃貸収支を賃料だけでなく更新料も収入と見込んで計算し運営しています。もし更新料がないのであれば貸主はその分を賃料に加算していたでしょう。借主は契約当初から更新料2ヶ月を承知して入居したのです。もし契約条件が不服なら他の物件を自由に選択することも出来たはず。条件を納得して契約し、後から無効だ、違法だとの主張は、たとえ民事裁判で認められても人としての信用は失うことになります。

現時点での対応策は、契約前にしっかりと説明を行うこと、高額と受け取られない更新料の金額設定、普段から貸主と借主との信頼関係を築いておく、賃貸市場に沿った条件にしていくことが必要です。

また、最近、戦略的な理由によって礼金や更新料がある物件とない物件が存在します。また、同一物件でありながら礼金・更新料ありの場合、賃料を低く、礼金・更新料ナシの場合、賃料を高めに設定し、そのいずれかを借主が選択できるものもあります。契約金(入居一時金)を少なくして引越しをし易くしようという試みですが、借主が契約期間中に支払う合計金額はほぼ同じです。

いずれの業界にも自由競争は必要と考えます。家賃、契約金、更新料、グレード、付帯設備、仕様、環境、これらすべてを総合的に判断し借主は条件に見合った住みたい部屋を自由に選ぶのです。

しかし、慣習や条件というだけでは認められなくなりつつある更新料について、今後は重要事項において徴収する目的(賃料の一部前払いなど)の説明義務が課せられるかもしれません。要するに更新料の定義付けが必要なのです。或いは、更新料そのものが賃貸条件から排除される可能性もあります。

大切なことは、ひとつの裁判のみに右往左往することなく、業界全体の動き、借主の意識、貸主側の対応、これらに対し総合的な判断を基に冷静に柔軟に対応していくことです。

売買物件のご案内-Vol.34

<高級マンション 雪谷テラス>
交通:東急池上線「石川台」駅徒歩8分、「雪が谷大塚」駅・「洗足池」駅徒歩13分
物件概要:所在/大田区東雪谷3 間取/4SLDK 専有面積/123.42㎡ 築年月/S56年7月 土地権利/所有権 所在階/1階 総戸数/18戸 管理形態/全部委託(日勤) 管理費/34,500円 修繕積立金/15,600円 現況/空室 引渡/相談 駐車場/有(月額2万円)
販売価格:5,900万円(税込)

資料の請求・お問い合わせは「不動産部」電話03-3444-0012
注)売却済みの場合はご了承下さい

Sudo’s WATCHING-Vol.34

■不動産購入時における本人確認

昨年3月より、ほぼすべての不動産売買取引時に、購入者の本人確認が義務付けられました。「犯罪収益移転防止法」の施行に伴い、宅建業者も本人確認記録の作成・保存、また疑わしい取引の届出義務を果たさなければならなくなったためです。

犯罪収益移転防止法とは、犯罪で得た不正なお金の出所をわからなくするために金融機関口座を転々とさせたり、債券や証券、または不動産へと姿を変えさせるマネーロンダリング(資金洗浄)を規制するために施行された法律です。

疑わしい取引の参考事例としては、多額の現金での物件購入、合理的な理由なく収入に見合わない物件の購入、また真の契約者を隠蔽している可能性がある場合などが挙げられます。

金融機関での本人確認は馴染みがありますが、不動産取引時の本人確認はまだ一般に浸透していないのが現状です。抵抗を感じる方もいらっしゃるかと思いますが、ご理解頂きご協力くださいますよう宜しくお願い致します。

不動産部 前田

■建物の顔

建物管理で度々問題になるのはゴミの出し方。各自がマナーを守り分別すれば収集車が運んでくれます。しかし、なかなか守られないのが現実。「一人暮らし」が多い物件でこの傾向が強いようです。「分別のお願い」や「注意書き」を掲示、配布しますが、特定できれば直接本人に注意します。粗大ゴミも放置すると、次々と出されてしまうため、早急な対応が必要になります。

契約時にきちんと説明し、定期的に注意・指導しても、規則とマナーを守らない入居者がひとりでもいる限り、ゴミ問題は続きます。これからもゴミ対策には積極的に取り組んでいかなければなりません。

また、最近はメールボックスに名前を表示することを嫌う入居者がいます。個人情報やストーカーに過剰に反応しているためでしょう。しかし、メールボックスがきちんとしているかどうかも管理上、また防犯上も大切なことです。

メールボックスとゴミ置場は「建物の顔」。この二つを見れば、入居者、オーナー、管理会社の質が分かるといわれています。

メンテナンス部 片寄

■マナー

食欲の秋ということで一言。日本人の食事作法は「箸に始まり、箸に終わる」と言われております。しかし様々な食文化が広まってきた現在、箸を使う頻度が減っています。その為箸の持ち方が間違っている人やタブーといわれている使い方をする人をよく目にします。マナー違反とされる嫌い箸には、刺し箸(食べ物を突き刺す)、移り箸(一度箸をつけたものを食べずに別のものに箸をつける)、ねぶり箸(箸を舐める)、迷い箸(何を食べようか迷って、箸をあちこち動かす)、寄せ箸(箸で器を引き寄せる)などがあります。

また、日本では麺類やお茶などをすする際に音が出ても無作法とは言われませんが、西洋のマナーでは音をたててスープなどをすすることを嫌います。熱いものを熱いうちに食する習慣がないからでしょう。

食事に関するしきたりやマナーには、国々の独自性がありますが、共通点も多いようです。「主客から箸をつける」「食べ物が全員に行き渡るように取り分ける」
「足を組んだり、肘をつかない」などです。相手に不愉快な思いをさせないようにするのはどの国でも共通のエチケットでしょう。マナーとエチケットは同席している方への思いやり。食事する姿や振る舞いが綺麗なのは、見ていて気持ちのいいものです。

賃貸事業3部 長谷川

■鏡の効果

幼いとき、母親に「人を嫌いになったらその人もあなたの事を嫌いになってしまうよ。人を好きになったらその人もあなたの事を好きになってくれるわよ。」と言われていた事を最近思い出しました。1日に何十本も電話を受ける仕事柄、興奮している人、感じのいい人、突然怒りだす人など、さまざまな人がいるなぁと思います。そんな中、相手は自分の鏡!自分がいい気持ちで相手の事を思って電話に出れば声で伝わるかもしれないと思い実践しています。心の中で、「電話をかけてくれてありがとうございます。」「物件紹介ご苦労様です。」なんて思いながら電話に出ると不思議と相手の声も弾んでいるように感じます。クレームの電話の時も、相手の気持ちになってゆっくり話しを聞くと、ほとんどの方が落ち着いて話をしてくださいます。余裕がない時や日常生活でも、この考えを徹底できるようにしていきたいと思いました。

システム管理部 佐川

Gourmet-Vol.34 牛込柳町 「くらま」

大江戸線「牛込柳町」駅徒歩5分、ウィンコート神楽坂1階、京のおばんざい「くらま」をご紹介致します。神楽坂というお洒落な立地と京料理と聞いて、敷居が高いのかなと思いながらお店に向かいましたが、雰囲気は全く反対で、お客さまはみな「ただいま~」と言いながら入ってきて、それを女将さんが優しい京都弁で「おかえり~」と迎えるとても気さくで温かいお店です。頂いた料理は上品に盛り付けてあり、素材の味が生かされていてどれも美味でした。中でも、だし巻玉子はふわふわジューシー、しっかり味が付いているのに後味がさっぱり、まさに絶品!他に旬の野菜を使った彩り鮮やかな小鉢、お造り、手作りコロッケ、万願寺唐辛子の炭火焼、豚と白菜の重ね鍋、そして〆に雑炊を頂きました。上品な店構えですが、暖簾をくぐるとおばんざい料理とスタッフがアットホームに出迎えてくれます。そんな第二のお家のような「くらま」へ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

くらま

新宿区南山伏町3-5 ウィンコート神楽坂102
電話:03-3260-5839
営業時間:ランチ AM11:30~PM2:00
ディナー PM5:30~PM11:00
(ラストオーダーPM10:00)
定休日:日曜日

コラム-Vol.34 利賀村の夏

毎年8月「野外ステージで行われる芝居の中で、台詞や音楽に合わせて花火を打揚げる」富山県利賀芸術祭。この種のエンターテインメントは、日本中でおそらくここでしか見られないであろう。円形観客席の前に舞台、舞台の後ろに池、池の中に離れ小島、その後ろに雑木林と山々…。ファンタジーの舞台は完璧に揃っている。池では噴水花火、滝花火、ロケット花火に水上花火、雑木林の中で爆竹と煙幕、乱玉に火柱を揚げるトラの尾、その後ろから大きな打揚げ花火。池の中心にあるのは石を積み上げた灯篭のようなオブジェ。そして暗闇の中の風と雨、遠くで鳴り響く雷の音、自然の現象が舞台を盛り上げる。

車で砺波インターから45分、八尾の町から35分、五箇山インターから45分、富山県の秘境「利賀村」。どこから向かっても、くねくねと曲がりくねった崖道が続き、まるで孫悟空が出てきそうな山々が連なる。

村の中心地を過ぎ長いトンネルを抜けると大自然の中に芸術村がある。小川が流れ、山々に囲まれ、まるで桃源郷のようだ。劇団本部や芝居小屋も含め、建物は野外劇場以外すべて合掌造り。そのため花火の時は、消防車で茅葺の屋根に水をこれでもかとかけまくる。しかしそれでも、大きく開いて地面に向かって垂れ下がってくる金色花火の錦冠菊を打ち揚げる時は気を使う。以前、茅葺屋根に火の粉が降ってきたことがあったからだ。

村でお世話になるのは民宿「七」(シチ)。ここのご主人がまたいい味を醸し出している。年に一度の宿泊なのに、いつも丁寧にかつ気さくに対応してくれる。こんな山奥なのに夕食には必ず海魚が一品加わる。魚好きの私にはなんともありがたいもてなしだ。味噌汁は、この地方の特徴だと思われるがやや甘め(薄い)、しかし何時でも必ず温めて出してくれる。我々が夜中まで飲んでいてもいやそうな顔など一切見せずにいつも笑顔。そして朝早く起きて朝食の支度。

毎年、ここの芸術祭で会うひとりの花火師がいる。滝花火(一般的にはナイヤガラとして知られている花火)と噴水花火の設営と演出にかけてはおそらくこの男の右に出るものはいないであろう。頭に熊の引っかき傷のあるこの男はとなり町の八尾に住み、1キロ先の熊を仕留める名人。還暦を過ぎているとは思えない肉体、鹿やイノシシ狩、鮎や岩魚釣り、そば作り名人でもあるが、本業は意外にもグラフィックデザイナーだという。酒好きで話し好きのこの男に毎年深夜遅くまで話を聞かされる。祭の後だけに眠い…。しかし私の日常生活とは程遠く興味深い話なのでついつい聞いてしまう。そして私よりずっと遅くまで飲んでいても、私が朝起きた時には、すでに出かけている、まるで動物のような行動をする男だ。

芸術祭は一年に一回のため、この男とは今までに十回程度しか会っていないが、なぜかもっと昔から知っているような親しみを覚える。お互いこの祭に同じ価値を見出し、演出の感動を共有しているからだろうか。今年の夏も利賀村は暑く熱く、上空の星は眩しいほどに輝いていた。

編集後記-Vol.34

毎年この時期、納戸からコタツを出します。「コタツに入ったら立たず」と言われるほど人の行動を億劫にさせるコタツですが、あの何ともいえない温もりがたまりません…