最近の賃貸事情-Vol.31 管理会社から見た賃貸物件(収益物件)の購入

アパート、マンション、一戸建を投資(収益物件)として購入する場合、利回りを重要視するのは当然のことです。しかし、他にもいくつか重要事項があり、特に中古共同住宅の場合、重要事項と注意点が多岐にわたります。

「建物管理状態の確認」は特に重要です。中でもアプローチ、建物玄関、メールボックスは、それがだらしなかったり汚れていたりすると、内覧者が室内を見る前に敬遠してしまいます。結果的に空室期間が長引きます。室内、いわゆる専有部分は入居者が管理するべきところなので、オーナーも管理会社も無断で立ち入ることはできないため、管理は入居者を信用する以外ありません。「建物は管理を買え」と言われるくらい建物メンテナンスは大事なポイントです。入居者は自分の居住している建物だからきれいにしておきたいと思っています。しかし共用部分(エントランス、廊下や階段)が汚れていると、汚してもいいものと勝手に判断してしまいます。清掃してきれいにしていれば、入居者はきれいに使い、ましてゴミを捨てたりしません。

次に「入居者層や入居態度」が重要です。これらを知りたい場合、ゴミ置場を見るのが有効です。ゴミの出し方は共同住宅の大事な基本的マナーのひとつです。また、現オーナーが管理に力を入れているかどうか、管理会社がどのように対応しているかも合わせて見ることができます。
その他、注意する点をいくつか挙げてみます。

●購入の目的
明確にすることが大事です。値上がりを待って売却益を期待するのか、利回りを優先するのかを決める。

●現在の所有者
現在の所有者が法人か個人か、また、どのくらいの期間所有しているかを確認する。

●予定所有期間
短期か長期か、自分がどのくらいの期間所有する予定か。

●築年数、構造規模、間取
空室リスクを考えるとき、これらを充分に検討しなければなりません。付近の需要と供給も把握しなければ、新築時は人気があっても古くなると空室が増えてしまうことが考えられます。

●現契約賃料が適正か
現契約が賃料上昇期、安定期、下降期のいずれか。新規契約や更新時期に賃料値下げが考えられます。

●エレベータの契約形態
POGかフルメンテナンスか。

●滞納者やトラブルの有無
現在及び過去のトラブル内容を確認する。

●近隣との関係
過去にトラブルはなかったか、また、現在の関係は良好か。

●諸設備の耐用年数と契約形態
エアコン・給湯器など、買取かリースか。

●配管などのメンテナンス
給排水管の洗浄を定期的に行っているか。見えない部分は特に注意が必要。

●外装、防水工事の時期
新築時から定期的に行っているか、また、前回行ったのはいつか。
短期所有目的の所有者は、利回りを良くするためにやや無理をしている傾向がありますので、購入する際は注意が必要です。その無理とは「賃料を高く設定」「退室後きちんとリフォームしない」「メンテナンスや大規模修繕を先送りする」「共用部分の清掃を減らす」などです。

すこし角度を変えて考えた場合、古い物件を安く購入して再生させ資産価値と収支をアップさせる方法があります。築年数も経過して外観見た目もよくない物件でも、見えないところのメンテナンスがしっかりしていれば、大規模修繕等をして再生させることによって価値が上がることがあります。

収益物件購入の際、チェック事項がたくさんありますが、すべて重要なことです。これらを怠ると購入後に、収支に大きな差が生まれ「こんなはずじゃなかった」ということになりかねません。事前に確認することがとても大切です。