最近の賃貸事情-Vol35 2009年度上半期の賃貸事情

今回は本年度上半期(2009年4月~9月)の賃貸事情を振り返ってみます。

まずは『住まい探しのきっかけは?』(グラフ①参照)より、1位は契約更新で18.9%、2位は就職・転職で17.2%、以下結婚が16.8%、転勤が13.0%と続きます。これを間取り別に見るとシングルの1位も契約更新で23.5%、約4人に1人は更新時期に引越しを考えていることになります。カップルの場合1位は昨年同様結婚で44.2%、ファミリーの1位は就職・転職の23.9%で前回1位だった転勤は3位に下がっています。全体的に見て転職により住まいを変える人が増加傾向にあり、景気動向と共に当分はこの流れが続きそうです。当社の解約理由の集計を見ても、概ね上記と同様の結果が出ております。全体的には就職・転勤・結婚など、引越を要する場合が約7割を占めています。

次に『住まい探しで重視した条件は?』(グラフ②参照)より、1位は家賃で80.2%、以下間取り、交通アクセス、広さと続きます。間取り別に比較すると、シングルタイプでは広さの重視度、ファミリータイプでは駐車場ありの重視度、カップルタイプでは築年数の重視度が低下しており、家賃重視のため条件面を我慢する方が増えています。転職やリストラ、給料減額などの環境の変化が原因と考えられます。

続いて賃料改定について見ていきましょう。東京23区の賃料改定率は9月までの約1年間で低額賃料帯(20万円未満)は約▲2%、高額賃料帯(20万円以上)は約▲8%。高額賃料帯ほどではないが、低額賃料帯においても賃料下落は続いている状況です。23区の中でも千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区の5区は低額賃料帯で▲2.9%、高額賃料帯で▲8.5%と他の区に比べ下落率が顕著になっています。

最後にオフィスビルの空室状況です。11月の都心5区の空室率は7.98%で前月より0.22%増えて空室率増加が続いています。特に新築ビルの空室率は21.50%。これはオフィス縮小の動きがまだ続いていることが要因で、今後しばらく新規供給量は減少するものの、まだまだ厳しい状況が続くと思われます。事務所ビル(100坪以上)の平均坪単価は2008年12月の22,186円をピークに2009年11月末は19,306円と▲2,880円となっています。

昨年より高額賃料の物件やオフィス物件を中心に競争率が激化していましたが、その影響が低額賃料帯にまで波及しているのが現況となっています。ここ数ヶ月は賃貸の供給数は減っています。しかしそれ以上に需要の伸び悩みにより競争が激化することが予想できます。

厳しい状況が続きますが少しでも早く成約させる為に、地域と物件の特性及び需給関係、入居者ニーズを把握した上で、「募集条件の見直し」「設備や間取り変更の提案」「セキュリティ関係」等、物件毎にそれぞれ見合った提案をさせていただき、競争力を高めて行きたいと考えております。