コラム-Vol36 東京タワー

2月2日は夫婦の日、3月3日は耳の日、4月6日はお城の日、みんな語呂合わせの記念日。東京タワーは昭和33年に完成したから333メートルと信じて疑わない人がいる。しかしこれは偶然の一致。関東一円に電波を送るのに必要な高さがたまたま333メートルだったということ、どうせ造るなら320メートルのエッフェル塔より高くして世界一にしよう、とのこだわりの結果だったのだ。私は、小学生と高校生の時、2度登ったことがある。

現在建築中の東京スカイツリーは武蔵の国に造るから高さ634メートル。3月29日時点で東京タワーを追い抜き、338メートル。当然その後も毎日少しずつ高くなっているが、外からは働いている人や工事内容が全く見えないから不思議な感じがする。まるで竹の子が自然に伸びている様子。当初の計画の高さは610.58メートルだったが、途中で634メートルに変更したそうだ。完成すれば自立式電波塔としては世界一となり、地上450メートルの展望台から76キロ四方を見渡せる。この634の高さは偶然ではなく意図してムサシにしたようだ。武蔵はその昔、近県を含めた東京の地名。スカイツリーの名前の公募があったとき、応募はしなかったが一応私も考えてみた。「平成塔」「ドリーミングタワー」「大江戸スカイハイ」「東京ムサシ」など。「東京スカイツリー」に決定した時、最先端技術の結晶のデジタルテレビ塔でありながら、エコでやさしい、また夢のあるいい名だと納得してしまった。

スカイツリーは間近で見るより、遠くから眺めたほうが大きく見える。東京タワーの付近には高層ビルが立ち並んでしまったのであまり感じないが、スカイツリーは常磐道や東北道から東京に入るとき、その大きさに改めて驚く。

周囲の人が期待して見ている。毎日ツリーを写真に収めている人や30分以上も余計に時間がかかるのに、ツリーが見られるルートで通勤しているサラリーマンもいるという。ツリーを自分にだぶらせながら見ているのかもしれない。東京の人たち、日本の人たちの夢を背負っているスカイツリーは、やがて日本のシンボルとなるであろう。

高度経済成長期に建築中だった東京タワー。当時を背景にした映画「三丁目の夕日」に出てくる街並みは、決して裕福とはいえないが活気がある人や商店街を映し出している。寧ろ裕福ではないがゆえにみんな夢を持っていた。

遅くても2012年早春、東京スカイツリーが完成する。しかしその前にもう一度、東京タワーに登ってみたい。