みなさんこんにちは

みなさんこんにちは-Vol40

今年も新緑の季節がやってきましたが、さわやかな風に吹かれて快適にお過ごしのことと存じ上げます。本紙もおかげさまで10年が経過し今回で第40号になります。継続できた理由は、できるだけ費用をかけず社員の手作りで着飾らない紙面作りに徹したこと、それより増してオーナーさまを始めご笑読いただいている方々の温かいお言葉のお陰と深く感謝しております。

現場の話を取り入れ、既成概念にとらわれない紙面にしたつもりですが、少しは伝えることが出来たでしょうか。これからも少しでもみなさまの参考になる内容をご提供できるよう努めて参ります。

先月、大震災が発生し、特に東北地方においては津波によって未曾有の被害を受け壊滅した街もあり、また多くの方が犠牲になりました。住宅は快適性が重視されますが、このような災害を経験すると、安全が最優先されるべきと考えます。そして、復興に向けて国民が協力し合っている姿を見て心が温まりました。思いやりの心は日本人の財産です。そのことは海外からも大きく評価されました。当社も可能な限りの協力をこれからも続けて参ります。

2008年のリーマンショック以降低迷していた建築不動産業界に昨年秋ごろからやや回復の兆しが見え始めました。しかし大震災が今後どの様な形で影響するのかが予想し難いところです。また、民法や賃貸関連の法改正、居住安定法、消費者契約法との兼ね合いで賃貸業界は厳しい状況に置かれています。法律や指導も消費者側に偏り過ぎて事業者側に負担を強いると言うことは、事業意欲を削いでしまい結果的に良質な住宅が供給されづらくなってしまいます。生活の中では誰もが消費者になりその反対にもなります。何事も思いやりと持ちつ持たれつの心が大切ではないでしょうか。

めやす賃料制度に代表されるように賃貸条件が変化している中、不動産ファンドの復活が賃貸市場に与える影響も見逃せません。高齢者住宅や大手不動産会社による賃貸住宅の供給の活発化も業界に影響し、また、都心回帰により郊外物件は特に競争が激しくなると予想されます。

消費者が考える居住コスト(家賃)は、諸設備や仕様など目に見える費用対効果を考えるだけでなく、ランニングコストや快適性、さらに安全と安心を加え総合的に判断して住宅を選ぶようになります。ハード面では、二重サッシやペアガラス、LED、再生クロス、太陽光発電や高断熱などエコをコンセプトとする住宅が消費者側にも事業者側にも注目されており、やはり人と自然にやさしく安心できる良質の住宅が求められます。

定期的な大規模修繕は建物の価値と競争力に大きな影響を与えます。それを指導していくことも行政に求められ、1棟でもスラム化した建物があると、折角の綺麗な街並みが台無しになってしまいます。建物にも個性は必要ですが、単体ではなく地域全体で考えることが求められます。

当社は本年4月8日で30期目を迎えましたが、常に初心を忘れず謙虚な気持ちを大切に、これからも仕事に取り組んでいきたいと考えております。

みなさんこんにちは-Vol39

 うさぎが駆け出してから早1ヶ月が過ぎようとしていますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。2011年最初のSUDO NEWSです。昨年も一年間ご笑読いただきましてありがとうございました。うさぎのように大きな耳で情報をキャッチしながら、須藤建設は今年も着実に、オーナー様と共に歩んでゆきたいと考えています。

昨年はSUDO NEWSにとってどの様な年でしたか。当社はオーナーの皆様をはじめさまざまな方々のご協力をいただき業務を遂行することができました。しかし、地域的な競争激化により昨年内に成約に結びつけることができなかった物件もあります。一日も早い成約を目指し努力していきます。

供給過剰への対策として昨年から、礼金の値下げ、家賃の値下げ、フリーレント、商品を進呈するなど金銭的メリットを打ち出す物件が増え始め、特にシングルタイプは、家賃を下げずに一時金の支出で競争力を付けようとしている物件が多く見られます。内装の一部を入居者に選ばせるなど入居者の好みやライフスタイルに合わせたサービスを提供する物件も出始めました。

最近、農業が見直されています。農家と都会の消費者を直接マッチングさせ地方活性を図る、都会のビルの空スペースで市場を催す、ビルの屋上を農地化し付近の住民に貸し出す、また、職業として農業を選択する人も増えています。これらは環境や自然に対する価値観の変化が影響しているのでしょう。

住宅においても、限られた地球資源(建築関連建材)を大切に使い、耐用年数の長い自然の材料を使用するなど環境に配慮する設備や仕様の導入がさかんになりつつあります。ビルトアンドスクラップの時代は過去のものです。キズになりにくい床材、長期メンテナンス不要の外壁材、さらに太陽光の利用やエネルギー消費の少ない住環境が求められ、100年住宅200年住宅も希望されるところです。目先の利回り最優先では賃貸経営は成り立たない時代が来るのかもしれません。

家やクルマ、家具や家電も所有する時代から使用する時代に移りつつある中、豊かな住環境を供給する人とそこに住む人、貸す側も借りる側も社会に貢献しているという満足感を得たいと考えています。多少賃料が高めでも自分が満足する物件には出費を惜しまない方が増えているのです。

夫婦だけでは広すぎる一戸建を貸し、生活に便利で程よい広さの共同住宅に転居する方やDINKSのための賃貸住宅がしばらくは需要の中心になると思われますが、供給過多により競争力に加え快適な居住空間が求められる賃貸業界において、今後リーシング力と提案力をメインとした管理会社の存在がより重要になっていくでしょう。

日本の経済は予断を許さぬ状況が続いておりますが、失業率は低下の兆候を見せているようです。やはり企業が元気にならなければ社会やそこに暮らす人々の元気は望めないと考えます。私たちも元気に仕事をして、お客様と当社員全員が元気になれるようまい進して参りたいと思います。

本年も須藤建設、並びにSUDO NEWSをどうぞよろしくお願い申し上げます。

みなさんこんにちは-Vol38

みなさんこんにちは、2010年秋のSUDO NEWSです。昔から、暑さ寒さも彼岸までと言いますが、今年の秋はまさにことわざ通りになりました。秋分の日を挟んで一気に13度も下がり、異常とも思われる気候に少々不安を感じます。

さて、人口は減少しても高齢化、晩婚化、少子化により世帯数はしばらく増え続けるという話を以前しましたが、1億総家主と言われるように、第二の年金のため収益物件を購入するサラリーマン家主、将来を見据えて自宅併用型マンションやアパートを建てる人の登場で供給過剰になる傾向は避けられません。

今後、単身者やカップルなど、少人数世帯をターゲットにした広めのワンルーム、1K、1LDKの需要が増えると思われますが、すでにどこのエリアでもそのようなプランが多くなっているようです。そこで今後、より競争力を付けるためには、人気の主流を捉えると言うよりは人気を引き寄せるプランニングが必要になります。

そのひとつに高齢者住宅があります。これには一般の賃貸マンションとは異なり専門的知識が必要で、提携する病院やケアマネージャー、ヘルパー、そして行政との関係も重要です。一般のマンションとは入居者の募集の仕方も異なります。また、高齢者専用にするのか混合タイプにするのかで仕様や設備を変えなくてはなりません。最近この事業に取り組んでいる企業が増えていますが、将来的には供給過剰になる恐れもあります。

次に、住む人をとことん考えたコンセプトマンション。ペット共生マンションの登場から、最近ではガレージハウスやサイクリングマンションなど、主に男性をターゲットにしたものも多く登場していますが、一般的には間取りの如何を問わず、住まいは女性をターゲットにプランニングすることが間違いないとされています。

参考までに、単身社会人女性の場合は「家賃」が予算内で部屋や設備がよければ、「初期費用」の多さや「築年数」の古さは妥協できるそうです。決め手になった条件の1位は「バストイレ別」、2位は「2階以上」、3位「内観の良さ」、4位「日当りの良さ」5位「室内洗濯機置場」6位「収納スペース」の順でした。(以上、リクルート調べ)

シェアハウスやゲストハウスなどのサービスアパートメントもあります。人間関係が希薄になりつつある昨今ですが、前向きにコミュニケーションを取りたいと考える人も増えつつあります。一人でも安心して暮らせる、友達ができる、外国語が身につけられる、長期不在でも安心、経済的で合理的である、などのメリットがその理由です。

その他、生活保護者や低所得者向け住宅、外国人向け住宅も増えていくと思われ今後の動向が気になるところです。

新築、リノベーションとも、間取りや仕様、設備といった部屋単位の提案ではなく、建物全体、如いては地域社会のことまで考えたプランニングが必要であり、今後の賃貸不動産業界では管理会社の存在意義がますます重要になります。

当社も管理会社として、建物のコンセプトをしっかり持ち、新築においてもリノべーションの際にも最善のプランを提案して参りたいと考えております。

みなさんこんにちは-Vol37

2010年夏、お蔭様で今回の第37号でSUDO NEWSも初刊発行から9年目に入りました。ご笑読していただいているみなさまに心より感謝申し上げます。時折内容についてご批評を受けることもありますが、NEWSは一方通行のためあまりご感想を伺う機会がありません。どうぞ遠慮のないご指摘をお願いいたします。

ところでみなさんは土用の丑の日に今年は鰻を召し上がりましたか。土用の丑の日に鰻を食べる習慣は…江戸時代に万能学者として有名な平賀源内が、夏に売れない鰻を何とか売るために相談に来た鰻屋に、「丑の日に『う』の字が附く物を食べると夏負けしない」という民間伝承からヒントを得て「本日、土用丑の日」と書いて店先に貼ることを勧めた。するとその鰻屋は大変繁盛、他の鰻屋もそれを真似るようになり、この風習が定着したという説が有力です。

バレンタインデーのチョコレート、ホワイトデーのキャンディ、8月29日の焼き肉(毎月29日も肉の日のだそうです)、これらは全部、業界の売上アップに繋げる戦略ということは今や日本人の常識となっていますが、それを知りつつも戦略に乗ってしまう方が大半でしょう。きっかけはどうであれ消費が増え、その結果景気がよくなるのであれば私も是非乗っかりたいと思います。来年から2月13日を不動産の日ということにして「この日に不動産に関する契約をすると良いことがある」とでもしましょうか。

さて、2009年夏を境に不動産は底値を過ぎてやや上向きになり、今年度に入りマンションの販売戸数、契約率も上昇しているようです。景気というものは、良くても悪くても数年単位の繰り返しのようです。好景気が安定して続くことは望ましいことですが、進化のためには景気変動の繰り返しが必要なのでしょうか。どのような時期にも大切なのは常に危機感を持ち、企業努力を惜しまず、社会の変化に追随することと考えます。

将来を見据え年金代わりにアパートやマンションを購入する、いわゆる個人投資家が増えています。このような長期所有目的のオーナーの管理業務は歓迎できますが、短期所有目的のオーナーは不動産業界の活性化には有益ですが、利益を短期的に見るため賃貸管理業務については対入居者やメンテナンスにおいて問題が残ります。

消費者保護法により管理業務が難しくなりつつあります。家賃未納者の督促に限らず、法律を誤解している人や法律を盾に保身する人、中には悪用している人も見られます。善人では損をすると考えているのでしょう。社会は人々の思いやりと譲り合いで成り立っている共同生活。共同住宅であるマンションやアパートはさらに我慢と協力も必要です。契約を守らない人や難癖を付ける人、借主による理不尽な要求が増えると言うことは、再契約を前提としない定期借家が今後は増えることになるでしょう。また、規則やマナーを守らない一部の人によって他の居住者の快適な生活が妨げられないよう我々は努力しなければなりません。

これから秋に向かって引越しをする人が増えていきます。空室を少なくすることが我々の一番の業務ですが、そのためには共用部分の日常メンテナンスはもちろんですが、定期的に大規模修繕を行うなど資産価値を減少させないこともまた大事な業務のひとつです。

みなさんこんにちは-Vol36

若葉の季節、みなさまいかがお過ごしでしょうか。お陰様で4月1日に当社は29期目に入りました。一般的に創立30年で老舗と言われることもありますが、過去の実績や満足感以上に未来継続という責任の重さを実感しています。今年度も賃貸業界においては競争激化が予想される中、社員が一丸となり、しっかりした管理業務を遂行するために、よりよい提案を心がけて参りたいと考えております。

近年はインターネットで部屋を探す人が7割とも8割とも言われています。昨年はインターネット広告費が初めて新聞広告費を上回り、これでマスコミ4媒体(新聞、雑誌、ラジオ、テレビ)のうち、テレビ以外は全てインターネットに抜かれてしまったそうです。これが賃貸業界にどのように影響するでしょうか。ユーザー動向にも注目し今後の広告の方法を慎重に考えたいと思います。

今年の業界は、エコポイント制度の導入による改修工事、シェアハウス、高齢者住宅の動向が気になります。

住宅を建築または購入する際にエコ関連設備導入を検討している人が7割以上で、興味がある人も含めると9割以上に達します。また、民間でもコンセプトマンションのひとつとして自転車愛好家マンションが登場しています。共用スペースに自転車のピットスペース(整備やメンテナンスを行う)や洗い場、専用部分に自転車が収納できる部屋があります。自転車はCO2を排出しないためエコと言えますが、健康にもよく維持費や交通費がかからないことを考えると、世相を反映しているとも言えます。

人気がなくなった物件の改修工事、エコポイント制度の特典を生かしたリフォームも増えると思われます。居室は「寝るための場所」だけでなく「癒される空間」が求められ、浴室は1日の汚れを洗い流す場所から健康、癒し、美容の場へと変化しています。ファミリータイプの広さに変化はないがライフスタイルの変化により和室から洋室へ、また、少子化により2DKから1LDKへ、3LDKから2LDKへと人気が移っています。

シングルタイプの場合、20代30代の単身者は以前より住居費にお金をかける傾向になっているため専有面積が広がりつつあります。また、最近シェアハウスに興味を持つ単身者が4割以上と増えており特に女性に多い。安心して住めることや費用が削減できることがシェアハウスのメリットですが、他の人との生活に興味がある人も多いようです。

今年のオンシーズン状況について、1月から3月までの契約数は昨年度とそれほど変化はありませんが、同一物件での空室が目立ちました。また、昨年夏以降、都心では30万円以上、城南地区では20万円以上の高額物件の空室が目立ち、シングルタイプはエリアを問わず供給過剰傾向です。

火災警報器設置、地上デジタル放送対応、修繕費など、貸主側の経費が増し、家賃が上がらず礼金が下がる。このような状況下ではせめて空室期間を短縮しなければなりません。そのためには競争力を高めることが重要です。「付帯設備の充実」「募集条件の緩和」「幅広い広告」というありきたりの提案ではなく、借主に「自由に壁の色などを変えさせる」「センスのいい家具を付ける」など、斬新的なアイディアも求められます。今年度も「SUDO」は、時代に即した提案を心がけて参りたいと考えております。

みなさんこんにちは-Vol.35

今年も早一ヶ月が経ちました。2010年もよいお正月を過ごされたことと存じます。一年を通して一番寒い時期ですが、風邪などひかないようご自愛ください。

我々12人に一人が年女年男になる筈ですが、平均で見てみると人口比率約1,000万人。平成22年生まれの寅雄と虎子の数はどう変化するでしょうか。

さて、総務省が発表した統計によると平成20年10月1日時点の住宅数は5,759万戸で、5年前に比べ6.9%増加。一方で、人が住まない空き家の数が756万戸で5年前に比べ14.5%増加。住宅全体に占める空き家率も13.1%と過去最高を更新。人口の都市流出に悩む地方を中心に使われない家が増えているそうです。また、総世帯数は、単身化や核家族化が進み4,999万世帯となり、5年前に比べ5.8%増加。この状況を総務省は、世帯の増加より住宅の戸数の増え方の方が大きく、その分空き家が生まれていると分析しています。

要するに、住宅を探している人の数は減ってはいないけれど、住宅の供給が増えているということです。いずれにしても需要と供給のバランスが損なわれているため競争の激化は避けられません。よって賃貸条件の上昇はもうしばらく見込めないかと予想します。

管理業務の複雑化、高度化が急速に進んでいます。その要因は、第一に専用部分及び共用部分の付帯設備の充実(増加)、その他の理由として自己中心的な入居者の増加、自己責任の転嫁、ルールや法律に対する誤った解釈、消費者の過剰保護、最低限の日常生活に必要な作業をしない入居者の増加などです。必然的に設備の故障やトラブル、入居者からのクレームが増えます。さらに要望やクレーム内容も以前に比べかなり多様化しています。

社会問題化した後の行政指導や新たな法律による重要事項説明義務も増えており、消費者契約法と賃貸借契約等の契約の自由との関係も、特に関西地方を中心に話題を振りまいております。

見方を変えた場合、借主(消費者)が賃貸借契約時に説明を受ける重要事項説明書(アスベスト、耐震関係、抵当権、短期賃貸借制度の廃止、他)、賃貸借契約書、東京ルール、管理規約、使用細則、緊急センター、保証人代行制度、集金代行制度、損害保険申込書等、これらをすべて理解するのは至難の業でしょう。そしてそれらにトラブルが生じたときの責任の所在が問題になります。

供給過剰は空室を増やし、空期間を長期化させてしまいます。また、リストラや景気の影響によって滞納者が増えることを懸念されるオーナー様がいらっしゃいます。当社では滞納の不安や、忙しさのため毎月月初に入金確認ができないオーナー様に対して、「トラスト・マネジメントシステム」の中から集金代行(滞納保証付)システムをご提案させていただいております。これは借主のうっかりミスによる未納やお金が不足して払えない場合、当社が借主の家賃を立て替えて、毎月決まった日にオーナー様の口座にお支払いするシステムです。詳細はいつでも遠慮なく弊社担当にご連絡ください。

須藤建設とSUDO NEWS、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

みなさんこんにちは-Vol.34

大分寒くなりましたが、お元気にお過ごしのこととお察し申し上げます。

昨年秋の金融危機からしばらく経過した今年の夏前、賃貸住宅にも影響が出始めました。不動産に対する景気は良くなるときも悪くなるときも、売買関係に始まり、次に賃貸事業系、そして賃貸住宅系の順番に影響が出ます。

例年どおり今年も春先以降引越しが減りましたが、慢性的な空室も多い状況です。空室が増えた一因として、借りる人が減ったことより供給が増えたことが大きいです。また、人気のある物件とない物件の差が顕著に現れています。オーナーや管理会社は競争に勝つため「契約金の減額」や「フリーレント」を打出し募集活動に奮闘していますが、ハード面(設備や内装等)、或いはソフト面(入居者条件や契約条件)で対応するのかを物件ごとに見極め、競争力を高めることが重要です。

さて、更新料の有効性が問われた裁判が何回かなされております。過去ほとんどが「更新料は有効」との判決でしたが、今年7月の京都地裁、8月の大阪高裁では消費者契約法との関係で無効の判決が下りました。民事の基本は個人の意見を尊重することですが、それ以前の問題として、成人の契約行為には責任を持つことが大原則。自己責任と契約の自由が優先されるべきではないでしょうか。また、極めて稀で偏った意見を持つ人のために長い年月をかけて議論し、歴史や慣習、規則や法律を変えるのはいかがなものかと考えます。貸主側は最高裁に上告するそうですが、この件については本誌2頁の「賃貸事情」で詳しくお話したいと思います。

最近、「敷金鑑定士」という仕事が現れました。賃貸借契約解約時に借主の代理人として、補修費負担を最小限に食い止め、返還金を増やすことが主な業務のようです。借主はもちろん手数料を払います。その手数料と返還金の差額が借主のメリットになるようです。消費者保護的観点というと聞こえがいいですが、景気が悪くなると発生する隙間産業のひとつで、不景気の中で模索した結果の仕事なのでしょう。不当な請求をする貸主や管理会社に対してはともかく、契約書やルールに沿って公平に精算しようとしている場合、敷金鑑定士の存在はかえってトラブルを発生させ結果的に依頼者(消費者)が煩わしい思いをしたり、損をしてしまうことも考えられます。

管理会社が貸主代理であると同様に借主にも代理人が必要な場合があり、事実、大手企業は契約代行会社に依頼するところが増えています。今後は法人に限らず個人契約でも契約代行会社を利用するようになるかもしれません。

何事にも平等な権利義務と公平な機会は必要ですが、同時にそれらがバランスよく保たれることも必要です。生産者と消費者、貸主と借主においても同様です。依頼者の意向に沿って行動し利便を図り、利益をもたらすのが代理人の仕事。しかし代理人は権利を主張するだけでなく相手の立場を理解することも必要であり、それをなくしては、解約精算でさえも和解することなく裁判へと発展してしまうでしょう。このことを念頭におき管理会社として賃貸業界の変遷にしっかり対応してゆきたいと考えております。

みなさんこんにちは-Vol.33

子供の頃、夏休みが始まって間もないこの時期は宿題のことなど考えもせずに近所の空き地や神社で遊び回っていました。そして…夏休みも終わりになる頃、宿題の短期集中処理という恐ろしい現実を見たものです。

その頃、兄の洋服を弟に着せる、いとこの洋服が巡ってくる、いわゆる「お下がり」がごく当り前のことでした。双子の友だちは洋服をほとんど共有していました。経済的な理由でそうしていたわけですが、今考えると、とてもエコなことだったのですね。裕福過ぎないほうが環境に優しいのかもしれません。

「お下がり」や「共有」、最近のシェアリング(ルームシェアやカーシェア)の意味は異なりますが、経済的で合理性があるという共通点があります。

ルームシェアは以前からあり、経済的理由に加えて寂しさを無くし安心して暮らすために友人同士で部屋を借りることがよくありました。当時は4畳半や6畳一間、トイレとキッチン共同の木造賃貸アパートや間貸しがシングル向けの主流で、これが今のルームシェアの原型と言えるのかもしれません。

外国のルームシェアはルームメイトに知らない人を募集するようですが、日本では知人同士のシェアが普通でした。現在のゲストハウスは、以前の「間貸しアパート」「日本のルームシェア」「外国のルームシェア」「日本の寮システム」をミックスしたような形態のようです。保証人代行制度に代表されるように人間関係が希薄になっている昨今、コミュニケーションが必要なゲストハウスやシェアハウス、サービスアパートの登場とその人気を見ると、すこしホッとします。

そして「もったいない」という発想からカーシェアリングの登場。これはエコという観点から見た場合も有意義であり、交通渋滞緩和などにも繋がるメリットもあります。一見レンタカーと変わらないように思えるサービスですが、短時間(15分~)でも利用が可能なこと、レンタカー会社に出向かなくてもよいことなどの違いがあります。近頃はマンションにこのサービスを取り入れているところもありますが、近い将来、スクーターのシェア、自転車のシェアも登場するかもしれません。

付帯設備が増えた日本の賃貸マンションですが、欧米のように家具付も増えつつあります。これもある意味で合理的でエコでもあります。シングルとファミリーでは欲しい電化製品や家具、また、必要な機能やサイズも異なります。これらを引越しの度に間取りや家族構成によって買い換えるのは合理的ではありません。

今まで生産と廃棄の繰り返しが多かった日本ですが、経済活性化のためにはそれが必要な場合もあります。建築や不動産に限りませんが、生産と廃棄、購入と売却、リースとレンタルという市場に加えて、もったいない思考に基づく有効利用と再利用、さらにはシェアリング、これらがバランスよく保たれて欲しいものです。

日本人は持ち家思考が強いと言われていましたが、ここ数年賃貸派が増えています。家具や電化製品も含め所有する満足から借りる合理性に価値観が移行しているのでしょう。今後、「シェアリング」=「経済的」「合理的」が賃貸業界の中でどのように浸透していくか、注目しています。

みなさんこんにちは-Vol.32

新緑の季節、春のSUDO NEWSです。移動のシーズンが終わり賃貸業界関係者は一息ついていることでしょう。まもなく5月のゴールデンウィークですが、更に今年は9月にも大型連休があるようです。

私が毎朝聴いているラジオ番組の中に「THINK GREEN, GROW GREEN」というコーナーがあります。緑が失われつつある現実を知り、自然と共存するため木々や植物を大切にして地球の緑を守ろう。つまり人は原点に帰って人にも自然にも優しくなろうということと私は捉え聴いています。さわやかな若葉の頃にはこの言葉を特に大事に思います。5月4日はみどりの日ですが、その日に限らず「いつも緑を大切に!」と願っています。

我々は無意識の内に植物に対し信頼出来て安全であると認識しているそうです。確かに植物を見るとほっとする気持ちになり、ストレスも解消されます。また、「緑」は安心と癒しを表すバランスのとれた色でもあるそうです。アパートやマンションの入居者も植物や花があると癒されます。水撒きや剪定に手間と費用がかかりますが、植物を育てながら建物を維持保全してゆくという共通意識が関係者全体に浸透します。居住用の建物をバランスよく維持運営してゆくために「緑」は不可欠なようです。

ところで、一部マスコミの記事にもあるように、1月から4月までの今年の引越シーズンは景気の影響により契約数が少ないと予想していました。しかし当社においては例年とあまり変わりない結果が出ました。その理由として3つのことが考えられます。1.当然ですが引越の理由は「仕事や学校の関係」「家族構成の変化」2.引越シーズンは比較的都心より郊外に顕著に表れる。(当社は都心から郊外まで取り扱っています)3.経済的な理由で、賃料を下げるための引越や実家に戻るなどの移動もあったため。

賃貸物件から賃貸物件へ引越をする場合、ほとんどが同等賃料かややアップするのが一般的です。賃料を下げるということは、同地域の場合「今より狭くなるか古くなるか」、または都心から郊外へ(賃料が低い地域か不便なところ)に引越をする必要があります。理屈では分かっていても実際には今より悪条件の物件に移るのにはかなりの勇気と割切った考えが必要です。

いずれにしても、引越が少ないことは貸す側にとってマイナスなだけではなく、「空室期間がない」「入替時のリフォーム費用がかからない」などプラス面も数多くあります。特に現在のように賃料アップを計れない場合はなおさらで、これは管理会社にとっても同様のことが言えます。
これからしばらくは、賃貸業界の先が読みづらい状況が予想されており、地域差はあるものの賃貸物件が供給過剰とも言われています。賃貸事業に限らず、何事もフレキシブルな姿勢は重要ですが、苦しさ紛れの安易な対応は一時凌ぎに過ぎませんので、こういう時ほど基本が大事、賃貸事業の長期安定経営には入居者管理と建物管理、つまりソフト面ハード面において一貫したコンセプトが大切と考えます。

1982年春に設立した須藤建設、お蔭様で今年4月8日に丸27年が経過しました。28期目も、新緑の中を流れる春風のようなさわやかな気持ちで、常に初心を忘れることなく、コツコツと業務を遂行して参りたいと考えております。

みなさんこんにちは-Vol.31

2009年丑年も早ひと月が経ち、引越しのシーズンがやってきました。昨年も「SUDO NEWS」をご笑読いただきましてありがとうございました。本年も、新鮮ですこしご参考頂ける情報をご提供できますようスタッフ一同張り切って作成して行く所存です。どうぞよろしくお願い申し上げます。

昨年をひと言で表すとしたらどのような言葉が適切でしょうか。みなさん意見が異なるところでしょう。金融危機、不況、解雇という類の言葉が年末マスコミに度々登場していました。そのため個人消費も大分冷え込んでいるとのことでしたが、実際休日にデパートや展覧会に出かけてみると、そこは人、人、人で大混雑、現実とのギャップを感じました。昨年の一文字は「変」が選ばれましたが、今年は良い方向に変化することを期待し、また、昨年の流行語「グー」と「アラフォー」、100年に一度の不況と言われている中、今年は好景気(グー)がアラウンドしてくることを望みます。

不動産運営は金銭だけでは解決できないことも多々あります。昨年何かと話題になったファンド系ですが、やはり現場を軽視するマンション運営にはやや無理があったようです。短期的投資と賃貸管理業とは根本的に体質が異なります。それは「賃貸管理業はサービス業」の要素が強く、お客様(貸す人と借りる人)のニーズに応えることが最も優先されなければなりません。いずれにしても、企業というものは社員と会社が一丸となって、今現場で起きている出来事を直視し、何をすべきかを考え業務をしっかり行っていくことが、いかに大切かを教えてくれた1年でした。

企業が経費を抑えたいとき、業種によって違いはあるものの、広告は真っ先に削減できる出費のひとつです。しかし売上げを考えると本末転倒の状況に陥ることも考えなくてはなりません。企業は客観的、主観的な目の両方をバランスよく保つ必要があり、そしてお客様、社員、会社という順番で考えることがよい結果をもたらすと考えます。

昨年秋、13ヶ月ぶりに賃貸住宅の着工数が増加に転じました。建築不況から脱する契機となる可能性がありますが、それは競争がより激しくなることをも意味し、既存管理物件を考えたとき、喜んでばかりはいられません。競争が激しいとき、景気が芳しくないときほど、商品に対するユーザーの目は厳しくなります。そのような状況下での共同住宅は、普遍的なニーズを大原則とし、少子高齢化、ライフスタイルや価値観など、変化するニーズに対応することが必要です。また、ゲストハウス、サービスアパート、家具付マンション、ペットケア付マンション、ガレージハウスなど、コンセプトマンションへのニーズもさらに高まるでしょう。

過去を振り返るとき、本能的に人は悪いことより良いことを思い出すようです。しかしマスコミはどちらかというと、明るいニュースより暗いニュースを露出し、肯定的な出来事よりも否定的な言葉を多用するように見えます。確かに、充分働いた、満足した、安泰だという考えは時に悪い状況を作り出してしまいます。須藤建設も現状に甘んずることなく、常に程よい危機感を持ちながら業務を遂行してまいりたいと考えております。